命生が退院の日…
翔北にて
…
基本的な赤ちゃん用品はお義姉さんから頂いたから、
女の子用のおむつや服などを買うために、ショッピングモールのベビーコーナーへ。
それなりの歳の男がこういうコーナーを子連れでうろついてると、周りからも変な目で見られるから、結構辛いのだが。
(↑お前がイケメンだからみんな見てんだよ!By藤川)
何を買えばいいのか全くわからないので
ネットでおすすめのものを調べて、そのままそれをカートに入れた。
…
家に帰って子供達の飯を作り、
命生をお風呂に入れ寝かしつけ、
幸の遊びに付き合い、一緒にお風呂に入り寝かしつけ、
ようやく一段落。
本棚にある医学書を読んだり、赤ちゃんについての本を読んだり。
育休を取ったものの、収入が無いと生活出来ないので、家で出来る仕事を探す。
前程の収入は得られないが、
手先は器用な方だから、いいかもしれない。
育休は約半年間。
子供と過ごせる時間は短い。
棚に飾ってある、恵と写った写真。
あの頃の恵はいないんだと思うと、自然に頬に涙がつたう。
たまに重なる非番の日には、一緒に出かけた。
一緒に帰れた日は、車の中で沢山話をした。
喧嘩した時もあったが、それもそれでいい思い出だ。
思えば、俺の前で恵は、いつも笑顔だった。
幸の事も妊娠の事もずっと1人で抱え込んでたはずなのに。
どうして気付いてやれなかったんだろう。
今更後悔しても仕方ないけど、恵に記憶障害が出たのは、きっと気付けなかった俺への、神様からの天罰だろう。
医学的根拠の無い話だけど。
毎晩のように悔やみ、涙を流した。
そして5年後…
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。