第4話

忘れられない思い
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2020/05/13 12:25
命生が退院の日…
藍沢幸
いもーとに会えぅ??
藍沢耕作
あぁ。
藍沢幸
ママは?
藍沢耕作
ママは…まだかな。
藍沢幸
そっか…
藍沢耕作
………ママの事、見たいか?
藍沢幸
うん!
藍沢耕作
そうか。
翔北にて
藤川一男
お!藍沢、命生ちゃん退院か?
藍沢耕作
あぁ。
藤川一男
あ、その子…
藤川一男
幸君か?
藍沢耕作
知ってるのか…?
藤川一男
…一応。
藤川一男
大きくなったなぁ!
藍沢幸
だえ?
藍沢耕作
パパの友達の、藤川先生。
藤川一男
藍沢、俺の事友達だと思ってくれてたのか?
嬉しいなぁ!!
藍沢耕作
はぁ、自惚れるな。
藤川一男
もう、照れるなよ〜
藤川一男
あ、白石の顔、見てくか?
藍沢耕作
いや…いい。
白石恵
…藍沢せんせ?
藍沢耕作
……白石!!
藍沢耕作
息子だよ。
白石恵
その子…どうしたの?
白石恵
…そう。
白石恵
命生には、会いに行ったわ。
今日退院でしょ?
藍沢耕作
あぁ。
お前、もう退院したのか。
白石恵
えぇ。
白石恵
仕事はまだ、書類だけだけど。
藍沢耕作
……明日から、育休取るんだ。だから、また暫く救命から離れることになる。
白石恵
そう…。ごめんなさい。
藍沢耕作
お前が謝ることじゃない。
気が向いたら、子供たちに会いに来てやってくれないか?
白石恵
行ってもいいの?
藍沢耕作
あぁ。記憶が戻るかもしれないしな。
白石恵
ありがとう、藍沢先生。
藍沢耕作
………藍沢先生、か…。
白石恵
ん?
藍沢耕作
いや、別に。
藍沢幸
パパ、この人だぁぇ?
藍沢耕作
この人は、パパの仕事の同僚。
藍沢幸
ふーん
藍沢耕作
じゃあ、手続きあるから。
白石恵
うん。お疲れ。
基本的な赤ちゃん用品はお義姉さんから頂いたから、
女の子用のおむつや服などを買うために、ショッピングモールのベビーコーナーへ。
それなりの歳の男がこういうコーナーを子連れでうろついてると、周りからも変な目で見られるから、結構辛いのだが。
(↑お前がイケメンだからみんな見てんだよ!By藤川)
何を買えばいいのか全くわからないので
ネットでおすすめのものを調べて、そのままそれをカートに入れた。
家に帰って子供達の飯を作り、
命生をお風呂に入れ寝かしつけ、
幸の遊びに付き合い、一緒にお風呂に入り寝かしつけ、
ようやく一段落。
藍沢耕作
ふぅ…
本棚にある医学書を読んだり、赤ちゃんについての本を読んだり。
育休を取ったものの、収入が無いと生活出来ないので、家で出来る仕事を探す。
藍沢耕作
内職…か。
前程の収入は得られないが、
手先は器用な方だから、いいかもしれない。
育休は約半年間。
子供と過ごせる時間は短い。
藍沢耕作
そうだな…
棚に飾ってある、恵と写った写真。
あの頃の恵はいないんだと思うと、自然に頬に涙がつたう。



たまに重なる非番の日には、一緒に出かけた。
一緒に帰れた日は、車の中で沢山話をした。

喧嘩した時もあったが、それもそれでいい思い出だ。




思えば、俺の前で恵は、いつも笑顔だった。
幸の事も妊娠の事もずっと1人で抱え込んでたはずなのに。

どうして気付いてやれなかったんだろう。
今更後悔しても仕方ないけど、恵に記憶障害が出たのは、きっと気付けなかった俺への、神様からの天罰だろう。
医学的根拠の無い話だけど。
毎晩のように悔やみ、涙を流した。
そして5年後…

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