第5話

この声届け4
31
2020/01/04 15:03
今日は、何度目かのお見舞い。
でも今日はいつもと違う。あるものを届けに行くんだ。
〜3か月前〜
私は、麻里ちゃんがいる病院に足を運んだ。
医者
『麻里さんが、目を覚ましました!』
麻里ちゃんが植物人間状態になってから2ヶ月後。紫ちゃんが戻ってきたこと…それは1番嬉しくて、1番悲しかった。
ガラガラ
風華
麻里ちゃん!
麻里ちゃんは、座って窓の景色を見ていた。そしてゆっくり私に首を向けた。
麻里
…?
風華
ほんとに…よかった…
私の足は嬉しさで崩れて床につく。
…その直後の話だった。





























































麻里
誰…ですか…?












































〜現在〜
あれから1度も足を運んでない。まだ大人に程遠い…大人まであと4年、6年かかる私には早かったんだ。
あの瞬間は今でも鮮明に覚えている。忘れない。忘れるわけがない。
コンコン…ガラガラ…
風華
麻里ちゃん、久しぶり。
麻里
…風華…さん…?
結局3ヶ月前…あの後、ちょっと自己紹介をしてすぐに帰った。家に帰ったらボロ泣き。
そして最後の決意したんだ。
麻里ちゃんに声を届けるって。その前から決めていたのは決めていた。でも、まだ迷いがあったんだ。
風華
そう!…ちょっとね…見てもらいたい動画があるの
麻里
…?
私は、動画を流す。
ドナーソングだ。
麻里
ごめんなさい。私、風華さんのことも自分のことも覚えていなくて…
口調や一人称が変わった麻里ちゃん。
風華
大丈夫だから…私、頑張ったよ。
3ヶ月かかったこの声、今からあなたに届けます
ずっと話してきたこと、麻里ちゃんとの日々を思い出しながら歌ったよ。私の大好きな麻里ちゃんへの気持ち。
聞いてください。

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