〜次の日〜
今日の天気は、最悪な天気だった。
変に生暖かい風が吹き、空は今にでも雷雨が来そうな真っ黒な色。
それでも僕は静夜さんの元へ向かう。
暖かい声で迎えてくれる静夜さん。そんな僕達の間に、また紙飛行機が届いた。
その紙を見ると、静夜さんは驚いたような表情をして、急いで走った。
そこは…
とても高い崖があるところだった。
僕は追いかけながら問いかける。
ザザザザー!!!ゴロゴロゴロ…
急に強い雨と雷がなる。
それでも静夜さんは止まらない。
そういえば…
〜来る時〜
あの人…崖に向かってた…!
静夜さんは男の人の肩を掴む。振り返った男の人は、やっぱりさっきの人だった。
静夜さんのポケットの中に入っていたさっきの紙飛行機を拾う。
『俺には生きる価値があるのか?もう、死にたい』
静夜さんも悟っただろう。
彼は、僕らでも想像しきれないほどの苦痛を味わってきたのだろう。
責任感。期待。
…でも…
真志さんは、メガネを外して指で涙を拭う。
そうして僕らは、ひとつの命を救った。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。