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第2話

私がハウスキーパーに!?
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2021/05/29 04:00
玄関の扉が閉まったのを確認すると、KOHは私の口から手を離した。
国立 煌
国立 煌
……ったく、外で何やってるんだよ!?
菱田さんにも気をつけるよう言われただろ?
国立 翔
国立 翔
ごめんごめん、彼女だと思ったら、人違いっていうね
あははっと笑った彼の顔を見て、フリーズした。

柔らかそうなプラチナカラーのパーマヘア。
目尻が下がり気味の、愛嬌のあるブラウンの瞳。
すらりとした長身に、全身から発するオシャレで華やかなオーラは、モデルならではのもの。
春野 小町
春野 小町
まさか、SYO……?
国立 翔
国立 翔
あったりー!
それを聞いた途端、うれしさのあまりクラクラしてきた。
春野 小町
春野 小町
(KOHだけでなく、SYOにも会えるなんて……、夢なの!?)
国立 煌
国立 煌
自らバラしてんじゃねーよ!
翔兄のせいで、全部バレちまったじゃねーか!
危機感のないSYOを、KOHがゴンと小突いた。
国立 翔
国立 翔
まぁ、バレちゃったものはしかたないよね。
……そういえば、君、誰だっけ?
どうしてうちに?
SYOに言われて、はっとなる。
そうだ、国立くんにプリント渡しに来たのに、SKY//HIGHの家と間違えるなんて……、ありえないよ!
春野 小町
春野 小町
私は春野小町です。
クラスメイトの国立くんの家に来たつもりが、部屋を間違えたみたいで……
国立 翔
国立 翔
え? 間違えてないよ。
めずらしいな、煌の友達が家に来るなんて
春野 小町
春野 小町
えっ?
まさか……国立くん、なの?
震える声で聞いたけど、目の前のKOHは不機嫌な顔をしたまま何も答えなかった。
国立 煌
国立 煌
…………
国立 翔
国立 翔
そうだよー。
学校ではカツラや眼鏡で変装してるから、誰も気づかないよね?
芸能科のある高校に行けばいいのに、面倒だから一番近い学校がいいって言って
春野 小町
春野 小町
そんな……
春野 小町
春野 小町
(クラスメイトに憧れのKOHがいたなんて……、信じられない!)
初めは驚きが勝っていたけど、実際にSKY//HIGHを目の前にして、ファン心理がムクムクとわいてくる。
春野 小町
春野 小町
あの、私SKY//HIGHが大好きなんだ!
毎日動画見てるし、歌も大好きで……
私が熱い想いをぶちまけはじめたとたん、KOHはうんざりした顔で言った。
国立 煌
国立 煌
そういうの、ウザイ。
芸能人ってわかったとたん、態度変える奴。
……だからいつも変装してんだよ
KOHに冷たく言い放たれて、はっとなる。
春野 小町
春野 小町
あ、ごめんなさい……
国立 翔
国立 翔
別にいいじゃん。
オレはファンだって言われたら、純粋にうれしいけど?
国立 煌
国立 煌
……で、俺になんの用?
春野 小町
春野 小町
あ、そうだった!
早坂先生から、休んだ分のプリントを渡すように言われてたの。
月曜日までに出せば大目に見るからって言ってたよ
春野 小町
春野 小町
国立くん、病気があって大変なんだってね
プリントを差し出しながら、本気で心配して言うと、SYOに大笑いされた。
国立 翔
国立 翔
あー、それ、ウソだから。
煌はいたって健康体だよ。
学校を休むのに、仕事よりも病気ってことにしておいた方がいいからね
春野 小町
春野 小町
ウソ……だったの?
拍子抜けしていると、国立くんはイラつきながらプリントを受け取って、SYOをにらみつけた。
国立 煌
国立 煌
人のこと、べらべらしゃべってんじゃねーよ
そう言って、すぐに家の奥へと行ってしまった。
国立 翔
国立 翔
ホントに愛想のない奴だなぁ。
……そうだ、小町ちゃん。
せっかく届けに来てくれたんだから、コーヒーでも飲んでいって
春野 小町
春野 小町
え? いいんですか?
国立 翔
国立 翔
散らかってるけど、どうぞ
春野 小町
春野 小町
ありがとうございます!
春野 小町
春野 小町
(SKY//HIGHの家に入れるなんて……、すごい!
いったいどんなお部屋なんだろう?)
SYOに続いて、私はワクワクしながら奥へと進む。
けれど、そのうち廊下の床に散乱しているDMや雑誌、脱いだままの靴下が気になりだした。
そのうえ、チラリと見えた洗面所には、洗濯ものが山盛りになっている。
春野 小町
春野 小町
(うう、この家を見てるとウズウズしてくるけど……、
人様の家だから、ガマン、ガマン)
そして、リビングに入ったとたん、目を疑った。
春野 小町
春野 小町
(これは……、やばい)
テーブルにはいつ食べたかわからないコンビニ弁当やカップ麺の空き容器が転がっている。
ソファは、脱ぎかけの服や荷物の入ったバッグに読みかけの雑誌、ゲームのコントローラーで埋め尽くされて座る場所もない。
国立 翔
国立 翔
ごめんねー。
いつもはもうちょっと片付いてるんだけど、亮兄がロケで一週間家を空けたら、こんな状態で
そう言いながら、ソファの荷物をざーっと隅に押しやって、私の座るスペースを確保してくれた。
国立 翔
国立 翔
小町ちゃん、ここに座って。
すぐにコーヒー入れてくるから
春野 小町
春野 小町
は、はい……
国立 翔
国立 翔
えーと、コーヒーのフィルターはどこだっけなぁ
なんだか嫌な予感がして、カウンター越しにキッチンをのぞいてみる。
案の定、流し台には汚れた食器が山のように積まれていた。
国立 翔
国立 翔
……新しいのが見つからないから、前使ったフィルターでいっか
春野 小町
春野 小町
えっ!?
そしてSYOがコーヒーフィルターにたまったカスを捨てて、もう一度セットしたのを見てしまうと、もう我慢の限界だった。
春野 小町
春野 小町
もう我慢できません!
コーヒーはいいので、ここを片付けさせてください!
国立 翔
国立 翔
えっ?
ぽかんと私を見つめるSYOを差し置いて、私は流し台に積まれた食器を洗い始めた。

*    *    *    *
春野 小町
春野 小町
ふぅ、とりあえずこんなものかな
三十分もたたないうちに、キッチンとリビングはピカピカになった。
国立 翔
国立 翔
うわー!
この部屋って、こんなに広かったっけ!?
春野 小町
春野 小町
ゴミが五袋分もあったんですよ。
ちょうど明日は燃えるゴミの日なので、ちゃんと出してくださいね!
国立 翔
国立 翔
……小町ちゃん、すごいよ!
ねぇ、うちのハウスキーパーになってくれない?
春野 小町
春野 小町
ハウスキーパー?
SYOがガシッと私の手を取って、じっと見つめてくる。
目の前の超絶イケメンに、私はなすすべもなく固まっていた。
国立 翔
国立 翔
君みたいなかわいい女の子が家事してくれるなら、大歓迎だよ!
……ダメかな?
春野 小町
春野 小町
ダメっていうか、その……
春野 小町
春野 小町
(ヤバい、本物のアイドルに見つめられて、断れる人なんている?)
ドキドキしながら、口をパクパクさせていると、向こうから玄関のドアが開く音がした。
国立 翔
国立 翔
あっ、ちょうどよかった。
兄さんが帰ってきた
春野 小町
春野 小町
お兄さんって……、まさか
すると、私の予想通りの人物がリビングに顔をだした。
国立 亮
国立 亮
翔、煌、いるのか?
春野 小町
春野 小町
(SKY//HIGHのリーダー、RYOだ……!)
短めの黒髪に、少し古風な切れ長の瞳が印象的な、正統派イケメン。
オシャレで軽いノリのSYOとは、見た目も性格も正反対。
春野 小町
春野 小町
(今日一日で、SKY//HIGHのメンバー全員に会っちゃったよ……!)
喜びに震えていると、RYOは私をチラリと見て、眉をひそめた。
国立 亮
国立 亮
翔、また彼女を家に連れてきたのか
国立 翔
国立 翔
ちがうって。
小町ちゃんは、煌のクラスメイト。
家事が得意でさ、今、あっという間にここを片付けてくれたんだ
国立 亮
国立 亮
……たしかに、かなり綺麗になっているな。
しかし、なぜ煌のクラスメイトがうちを掃除しているんだ
国立 翔
国立 翔
それは話すと長くなるから、おいといて……、
とりあえず、小町ちゃんの家事力を間近で体感して、
ぜひうちのハウスキーパーになってもらいたいと思ったんだけど、どう?
国立 亮
国立 亮
ハウスキーパー……?
国立 翔
国立 翔
兄さんだって、いつも家事が大変だって言ってるじゃん?
国立 亮
国立 亮
確かに家事の負担は感じているが……、若い女性がうちに出入りするのは反対だ。
もしハウスキーパーが必要だというなら、年配の女性を雇う
国立 翔
国立 翔
えー、オレはおばちゃんより、かわいい女子高生の方がいいなー
国立 亮
国立 亮
翔はもう少しアイドルとしての自覚を持て。
煌のクラスメイトを家にあげる時点で、軽はずみな行為だろう
国立 亮
国立 亮
家を綺麗にしてくれたことには感謝しているが、
もう遅いし帰ってもらえ
国立 翔
国立 翔
えー
春野 小町
春野 小町
(私がこの家に入ったこと、よく思われてないみたい)
考えてみればあたりまえだ。
アイドルの家に女の子が出入りするのを見られたらマズいよね。
私もつられて反省してしまう。

まだブツブツ言っているSYOを無視して、RYOはソファに座ると、コンビニの袋からビールと弁当を出してテレビをつけた。
国立 翔
国立 翔
兄さんがコンビニ弁当食べるなんて、めずらしい
国立 亮
国立 亮
口には合わんが、今日は疲れて何もしたくない
その姿が、仕事を終えたお父さんと重なって見えた。
春野 小町
春野 小町
(そういえば、一週間ずっと家を空けてたんだっけ。
……そんな時こそ、手作りのごはんを食べたいんじゃないのかな)
春野 小町
春野 小町
そうだ!
RYOさん、ちょっと待ってて!
国立 翔
国立 翔
小町ちゃん!?
私は急いで家へと帰ると、昨日の残りものが入ったタッパーを持って、国立くんの家へと戻った。
春野 小町
春野 小町
これ、昨日の肉じゃがですけど……、
たくさん作ったので、よかったら食べてください
国立 亮
国立 亮
え……?
RYOは少し驚いて、私とタッパーを交互に見ていた。
春野 小町
春野 小町
(……考えてみれば、残り物なんて失礼だったかな?)
ドキドキしながらRYOの返事を待つと、
国立 亮
国立 亮
せっかくだ。いただこう
そう言って受け取ってくれたから、ほっとする。

テレビを見ながら、黙々と肉じゃがを食べるRYOの姿を見つめていると、隣にいたSYOがささやいた。
国立 翔
国立 翔
……兄さん、肉じゃが、気に入ったみたいだね。
ほら、箸をカチカチしながら食べてるでしょ?
あれ、好物のときにやるクセなんだ
春野 小町
春野 小町
そうなんですか?
表情からはわかりにくいけど、気にいってもらえてよかった。

結局RYOは持ってきた肉じゃがをぺろりとたいらげて、私に言った。
国立 亮
国立 亮
……いくらだ?
春野 小町
春野 小町
えっ?
お金はいりません!
残り物だったし
国立 亮
国立 亮
違う。ハウスキーパーの時給だ
春野 小町
春野 小町
え?
すると、SYOがヒュウッと口笛を吹いた。
国立 翔
国立 翔
兄さん、肉じゃがで落ちたね!
……小町ちゃん、見事採用だよ!
国立 亮
国立 亮
週に二~三回、三時間程度、共用部分の掃除と夕飯を作って欲しい。
時給は二千円でどうだ?
春野 小町
春野 小町
二千円!?
いつものように掃除や夕飯を作って、お金をもらえるなんて夢みたいだ。
ずっとバイトをしたいと思っていたけど、
こんなにおいしいバイト、他にはないよね?
春野 小町
春野 小町
ぜひやります!
よろしくお願いします!
国立 翔
国立 翔
決まりだね!
二人に頭を下げると、RYOが初めて私に微笑んでくれた。