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第3話

ドキドキせずにはいられません!
4,150
2021/06/05 04:00
国立三兄弟との衝撃的な出会いから、二週間。

今日も私は、彼らの数日分のご飯を作るためにキッチンに立っていた。
春野 小町
春野 小町
えーっと、来週の火曜日は亮さんがロケだから、夕飯は二人分。
次の日から翔さんが撮影でいなくて……
三人のスケジュールが書きこまれているカレンダーを見ながら、夕飯の献立に頭を悩ませる。
春野 小町
春野 小町
(亮さんは和食派、翔さんはイタリアンが好き。
国立くんは……、好き嫌いが多くて、まだ好みがわからないな)
少しずつみんなの好みがわかってきて、ご飯も作りがいがある。
ハードなスケジュールを送る彼らに、少しでも元気の出るご飯を作ってあげたいって思う。
春野 小町
春野 小町
あっ、吹きこぼれる!
私は、あわてて鍋の火を弱めた。
春野 小町
春野 小町
(夕飯を作ったら、お風呂とリビングの掃除をして……)
この後の段取りを考えていると、背後からいきなり腕が伸びてきて、ぎゅっと抱きしめられる。
春野 小町
春野 小町
きゃっ!?
国立 翔
国立 翔
いいなぁ、こういうの。
かわいい女の子が、オレのために一生懸命手料理を作ってくれるって
肩越しに聞こえた翔さんの声に、心臓が跳ねる。
春野 小町
春野 小町
翔さん!?
何してるんですか
春野 小町
春野 小町
(これって、いわゆるバックハグというものでは……!?)
国立 翔
国立 翔
てれちゃって、かわいー
春野 小町
春野 小町
からかわないでください……!
初めて会ったときも、いきなり抱きつかれたし、翔さんにとってはどうってことないのかもしれないけれど……、
イケメンに免疫のない私には、刺激が強すぎる!
春野 小町
春野 小町
翔さん、彼女がいるんでしょ?
こんなことしちゃ、ダメですよ!
国立 翔
国立 翔
あー、もう別れたから、今はフリーなんだ。
そうだ、小町ちゃん、オレの彼女になる?
春野 小町
春野 小町
彼女って……
まさか本気なはずはないけど……、
こんなふうに抱きしめられながら言われると、うっかり勘違いしそうになる。

ドキドキしながら、なんて返すべきか必死で考えていると、後ろからポコッという音が聞こえた。
国立 翔
国立 翔
いてっ!
国立 煌
国立 煌
離れろ、エロ兄貴
するりと翔さんの腕が離れて、声のした方を見れば、そこには冷ややかな目をした国立くんが立っていた。
手には丸めた雑誌を持っていて、どうやら、それで翔さんの頭をたたいたらしい。
国立 翔
国立 翔
なんだよ、いいところだったのに
国立 煌
国立 煌
女子高生に手を出すと捕まるぞ
国立 翔
国立 翔
やだなー、冗談だって。
オレのために美味しい料理を作る女の子の後ろ姿って、つい抱きしめたくなるじゃん?
国立 煌
国立 煌
ならねーよ
国立 翔
国立 翔
小町ちゃん、今日のご飯、何?
春野 小町
春野 小町
今日のメインは、鶏肉のハーブ焼きです。
翔さん、イタリアンが好きですよね?
国立 翔
国立 翔
うまそう!
煌も肉なら好きだろ?
国立 煌
国立 煌
……俺、ハーブが嫌い
春野 小町
春野 小町
国立くん、ハーブが苦手だったんだ?
どうしよう、もう下味をつけちゃって……
国立 煌
国立 煌
いい。俺はちがうもの食うから
そう言って、国立くんはふいっとキッチンから去っていく。
春野 小町
春野 小町
あ……
事前に聞いておけばよかった。
そういえば、芽依もハーブが苦手だから、いつも照り焼きにしてるのに。
国立 翔
国立 翔
小町ちゃん、気にしなくていいよ。
煌はすごい偏食だから、あいつに合わせてたらきりがないよ
春野 小町
春野 小町
はい……
翔さんはそう言ってくれたけど、お金をもらっているんだし、このままじゃいけないよね。
春野 小町
春野 小町
(もう少し国立くんとコミュニケーションを取れたらな……)
少しの後悔を残して、ハーブ味の鶏肉を熱いフライパンに焼き付けた。
   
  *   *   *   *

今日の夕飯と数日分の作り置きのおかずを作り終えたら、次はリビングの掃除だ。

掃除機を持ってリビングに入ると、ソファで亮さんが台本をかぶせて寝ていた。
春野 小町
春野 小町
(さっきまでセリフの練習していたのに、いつの間にか寝ちゃったんだ)
ハウスキーパーになって彼らの私生活を見ていると、アイドルって想像以上に大変な仕事なんだって思う。
帰る時間も出発する時間もバラバラで、朝も夜もお構いなし。
不規則な上に、帰ってこない日だってある。

仕事のない日もレッスンや打ち合わせが入っているみたいだし、いったいいつ休んでいるんだろう。

それでも翔さんは、空いた時間に遊びに行ったりするけど、亮さんと国立くんは、もっぱら家で休んでいる。
春野 小町
春野 小町
(もう少し、寝かせてあげたいな)
掃除機をかけると起こしてしまいそうだから、リビングは片付けと拭き掃除だけにしておこう。
そっと様子をうかがうと、亮さんは規則的な寝息を繰り返して、よく寝ている。
春野 小町
春野 小町
(ここで寝てると、風邪ひかないかな)
起こさないように注意しながら、そっと薄手のブランケットを亮さんの大きな身体にかけていると、
国立 亮
国立 亮
……誰だ!?
いきなり亮さんが、がばっと跳ね起きて、私の手首をつかむ。
春野 小町
春野 小町
わっ!
亮さんは私をぐいっと引き寄せて、険しい顔で見つめてくる。
春野 小町
春野 小町
あ、あの……
あまりに近い距離に、私の心臓が音をたてて鳴り始める。
切れ長で男らしい瞳に見つめられて、言葉を失っていると、
国立 亮
国立 亮
……小町か
春野 小町
春野 小町
は、はい
亮さんは私をつかんでいた手を離して、テーブルに置いてあった眼鏡をかけた。
国立 亮
国立 亮
すまない。
こんなことをする奴は家にいないから、誰かと……。
寝ぼけていたうえに、眼鏡がなくてよく見えなかった
春野 小町
春野 小町
(そういえば、亮さんって目が悪かったっけ)
春野 小町
春野 小町
風邪をひかないようにブランケットをかけてたら……、
起こしてしまって、すみません
国立 亮
国立 亮
いや、いい。少し仮眠を取っていただけだ。
そろそろ起きるつもりだった
亮さんは床に落ちた台本を拾うと、キッチンから漂う匂いに気づいて、
国立 亮
国立 亮
いい匂いがするな。
もうご飯ができているのか
春野 小町
春野 小町
はい。
数日分のおかずを作っておきました。
冷めたら冷蔵庫に入れておいてくださいね
国立 亮
国立 亮
……ありがとう。
君のおかげで、家事に時間を取られることなく、仕事に集中できる
春野 小町
春野 小町
いつも、亮さんが一人で家事をしていたんですか?
国立 亮
国立 亮
SKY//HIGHの活動を機に、事務所がマンションを借りあげて三人で住み始めてから、家事はもっぱら長男である俺の仕事だ
国立 亮
国立 亮
……あいつらは、どれだけ家が汚くても気にならないし、外食続きでもかまわない奴らだからな
そう言って、ふうっと重いため息をついた。
春野 小町
春野 小町
それは……、私もわかります。
うちも三年前に母が亡くなって、四人兄弟の長女の私が家事をするしかなくて
国立 亮
国立 亮
……そうか。
小町も苦労しているんだな
春野 小町
春野 小町
でも、家事をやってたおかげでこうしてハウスキーパーのお仕事ができるわけで……。
いいこともありました
笑顔で言うと、亮さんも優しくほほえみ返してくれる。
国立 亮
国立 亮
……そうか。
それで、今日はもう帰るのか?
春野 小町
春野 小町
リビングのお掃除は、次回にします。
亮さんはゆっくり休んでください
国立 亮
国立 亮
いや、簡単でいいから、片づけてもらえると助かる。
俺はその間に、夕飯を食べてくる
春野 小町
春野 小町
わかりました
亮さんがダイニングへ移動したので、私はまず、ソファに置いてある荷物や服を片づけ始めた。

   *   *   *   *
春野 小町
春野 小町
リビングのお掃除、終了!
綺麗になったリビングを見渡して、一人で達成感を味わう。
我が家でも、人の家でも、お部屋が片付くと気分がすっきりする。
春野 小町
春野 小町
(次にくるときは、また散らかってそうだけどね)
亮さんも同じ気持ちだったのかな、……なんて思っていると、
ギターを肩にかけた国立くんが、リビングに顔を出した。
国立 煌
国立 煌
あれ?
国立くんは、ぐるりとリビングを見渡して、顔をしかめた。
国立 煌
国立 煌
……譜面は?
春野 小町
春野 小町
譜面……?
ああ、ソファに散らばっていた紙のこと?
さっき、まとめて棚の上に置いておいたけど……
私が言い終わらないうちに、国立くんはすぐに棚まで行き、譜面を手に取ったと思うと、
ギロリと私をにらみつけた。
国立 煌
国立 煌
俺のものに、勝手に触るな!
春野 小町
春野 小町
えっ!?
その冷たいまなざしに、胸のあたりがひやりとする。
春野 小町
春野 小町
散らばってたから、片づけようと思っただけで……
国立 煌
国立 煌
せっかく曲のイメージに合わせて並べてたのに……。
おい、何があっても、俺の譜面には絶対に触るなよ!
すごい剣幕で言うと、国立くんはリビングのドアをバタンと閉めて行ってしまった。
春野 小町
春野 小町
(なに、今の……)
私はドアを見つめながら、あぜんとしてしまった。
春野 小町
春野 小町
(並べてたって……、どう見たって散らかってるようにしか見えなかったけど!?)
亮さんと翔さんは、私が家事をするだけで感謝してくれるのに、片づけて怒られるなんてビックリだ。
春野 小町
春野 小町
(SKY//HIGHでは、KOHが一番好きだったのに……。
こんな人だったなんて、がっかりだよ)
春野 小町
春野 小町
(これからどれだけ散らかっていようと、国立くんのものには、一切さわらないからね!)
私はほおをぷうっと膨らませて、心に誓ったのだった。