第27話

保健室と優しさ
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2020/05/03 04:00
バスケの授業が終わり、僕は
冬樹を保健室に連れて行った。

しかし、肝心な保険の先生がいない
じゃないか…
宇佐美 智十
宇佐美 智十
う〜ん、たぶん職員室には
いると思うから…呼に行ってくる!
宇佐美 智十
宇佐美 智十
冬樹は、そこで座って待ってて!
村田 冬樹
村田 冬樹
わかった、ここから動かんから
知十も廊下走って転ばんようにな!
宇佐美 智十
宇佐美 智十
転ばないよ!
ピシャンッ…
ドアが閉まり…俺は1人
保健室の椅子に座って腫れ上がった
右手をながめた。
村田 冬樹
村田 冬樹
派手に、ぶつかった時
手を踏みつけられてしもうたからな…
暇なので、窓を開けて
風に当たる。
村田 冬樹
村田 冬樹
涼し〜
牙崎 龍雅
牙崎 龍雅
保健室で、何してるんだ?
村田 冬樹
村田 冬樹
!!きば、お前…サボりか?
牙崎 龍雅
牙崎 龍雅
何でだよ?
会うたび、会うたびそれしか
言われねえな。俺は…
村田 冬樹
村田 冬樹
ちゃうんなら、そう言えや
紛らわしい奴やな…
牙崎 龍雅
牙崎 龍雅
勝手に、お前らが
勘違いしてるんだろう!って、その手
どうしたんだ?
村田 冬樹
村田 冬樹
ああ…これか
俺が、話そうとすると牙崎が
「ちょっと待って」と言って、窓の淵に
手をかけると、軽くジャンプをして

こちら側に、乗り上げてきた。
ザッ…
牙崎 龍雅
牙崎 龍雅
で、なんだって?
村田 冬樹
村田 冬樹
そごい、ジャンプ力やな…
保健室の窓飛び上がるって…
ああ、それでな
俺は牙崎に、バスケでの負傷を
伝えると、いきなり体を引っ張られて
水道の前に連れて行かれた。
村田 冬樹
村田 冬樹
なっ、なんや?何する気や‼︎
励行する俺に、構わず
牙崎は、俺の右手に冷たい水をかけ出した。
村田 冬樹
村田 冬樹
ううっ、冷たっ!冷たいで!!
牙崎 龍雅
牙崎 龍雅
冷やしてんだよ、バーカ
村田 冬樹
村田 冬樹
やめろ!!腫れてんのに
水かけんなや!!しみる…
牙崎の横顔は、いたって
真剣そのものだった。

ふざけてるとかは、一切なくて
でも一言も言わんで、始めるから
俺もうまく対応できへん。
村田 冬樹
村田 冬樹
お前は、優しいけど…
一歩間違えば、その優しさは
伝わらんで…
牙崎 龍雅
牙崎 龍雅
は?優しさ
牙崎は、再び俺のことを
保健室に連れてくると、手を拭き

湿布を貼って、ずれないように
テープも巻いてくれた。
牙崎 龍雅
牙崎 龍雅
優しさなんて、べつに
伝わんなくていいさ…
牙崎 龍雅
牙崎 龍雅
お前には、言わなくても
伝わってると思うし…
村田 冬樹
村田 冬樹
え…
牙崎 龍雅
牙崎 龍雅
…ハア
何を言ってるんや?コイツ…
俺だけに伝わればいい的なことを
今、さらっと言いやがって…
牙崎 龍雅
牙崎 龍雅
あんまり、怪我すんなよ…
じゃないと俺の弁当作るのに影響する
牙崎…お前は、俺の手なんかより
そっち弁当の方が大事なのか…

なんか、胸がザワザワする。
ドンっ‼︎

牙崎を、突き飛ばし…普段なら言わない
ような事を言ってしまった。
村田 冬樹
村田 冬樹
お前が大切なんは、弁当なんやろ!
俺に優しくしてくれたのは…くれたのは
村田 冬樹
村田 冬樹
弁当が食えなくなるって
思ったから…なんやろ!
牙崎 龍雅
牙崎 龍雅
はあ?どうしたんだよ
お前…
うるさい!俺の気も知らんで…
なんで俺は、こんな奴好きになって
もうたんやろう…
村田 冬樹
村田 冬樹
もう、弁当なんか作らへん!!
勝手にしいや!
ガラー
牙崎 龍雅
牙崎 龍雅
おい!村田‼︎
牙崎が俺のことを、呼び止めた声
なんか無視して、保健室から飛び出した。
俺は、どうしたいんやろう?

なんで、今…こんなに泣きそうなんやろ…
全部、俺が悪いはずやのに…
牙崎 龍雅
牙崎 龍雅
っ…鈍いのはどっちだよ
少しは気付けよ…バカ村田
教室に戻る途中、保健室の先生を連れた
知十に会った。

大丈夫と伝え、俺は保健室に置き去りにした
牙崎のことを思い出す。

牙崎は、何も悪くない…ただ俺は…
いやなんでもない。俺は静かに教室の
椅子に座った。

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