慌てる智十を、後ろから
抱きしめ、動けないようにする。
キュッ
智十が、否定できないように
ついでに口元も塞ぐ。
母さんから、笑顔が消えて
真剣な顔つきになる。
迷わない…迷うはずない。
俺の答えは、1つだけ。
母さんは、スカートを手で伸ばすと
静かに座ったので、俺と智十も
床に座った。
母さんは、智十の方を向くと
静かに語りかける。
その後も、母さんに
あれこれ聞かれた智十は、冷静に
質問に答えていく。
俺は、母さんがこんなににも
真剣に話してくれることに、
少しの安心と感謝をしたいと思った。
話したり、聞いたり…
30分ぐらいして、ようやく
母さんは納得して
1階に降りて行った。
俺と智十は、同時に笑い
床に仰向けに寝転んだ。
そんなことは、わかってる。
でも、この先、俺が智十以外を
選ぶとか、他の女の子を選ぶとかは
できないんだと思う。
智十を、起き上がらせると
目と目を見て、話す。
心の底から…智十に
伝えたいことがある。
好きなんだよ。
智十のことが、大好きだ。
でも、1つだけ許せないことが
ある。それは、智十が傷つけられること。
例え、それが智十自身が自分を
傷つけても許せない。
可愛い君が、すごくすごく
愛おしくてたまらなくなる。
絶対、大切にするから…
そう誓いながら、そっと
智十の頬に触れた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。