授業が終わり、俺はいつものように
下校する。
玄関から、靴を取り出して
履き替える。
すぐに外に出ると、大きく伸びを
してって…
ガシッ‼︎
デジャブや!デシャブ!
俺は今…お前の事なんか
みじんも考えたくないって
いう時に、俺は圧倒的な力の差で
ズルズルとひきづられていき…
抵抗すればするほど、牙崎の
機嫌が悪くなっていった。
くそっ、なんてざまや…
こんな時「助けて〜」って叫んで
助けを求めたいんやけど、本当に
悪人顔のコイツは、シャレにならん
事になりかねないから、うかつに変な事も
言われへん…くっ…なんて日なんや…
牙崎は、川の土手に来ると
ドカッと草っ原に寝転がった。
俺は、気に食わないとは
思いながらも…静かに牙崎の横に
腰を下ろした。
静かに流れる川…
後ろでは、サイクリングをしてる人や
犬の散歩の人がたまに通るだけだった。
俺は、静かにそう呟いた。
ほんまに、何がしたいんや
こいつ…頭にくるを通り越して
意味不明やぞ?
なんで、お前に怒られる必要性が
あんねん…
言えるわけないやろ…本当は
弁当じゃなくて、俺のこと心配して
欲しかったなんて…
苦笑いをしながら、答える俺の前に
急に影ができた。
ドサっ
牙崎に押し倒されて
草が顔に当たる。目の前には
牙崎が、起き上がれないように
俺の両肩を押さえつけていた。
必死にわめいても、牙崎は
クスリっとも笑わない怒った目だ。
そう言ってすぐだった。
顎を掴まれ
顔が上に上がると…
唇に何かが重なった。
俺…今…チューされてる?
触れたものが、そっと
離れていく。
牙崎は、俺のおでこを
コツンと叩くと、さっきまでの
怖さは、嘘だったように
いつもの優しい顔に戻った。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。