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第9話

転校初日!②
菜々美先生(ななみせんせい)
おーし、んじゃ昼飯~。
なに食うか考えるのもめんどくせぇな……
どうにか、午前中の授業が終わって__
結衣(ゆい)
……疲れた
やっぱり、女子校に男がこっそり混ざっている状態なんて、
予想以上に精神を疲労させてくれる状況だ。
ありがたいことに、休み時間の度に杏子さんや他の同級生の皆さんも話しかけてくれるのだけど__
ボロを出さないように話を合わせるだけで精一杯だ。
いっそ一人になりたい……とはいえ、
女子にとってランチの時間は重要だと聞いたことがある。
決してぼっちになりたいわけではないので、
頑張って、どこかのグループに混ぜてもらわないと。
園子(そのこ)
くすっ♪
結衣さん、顔が引きつっていますよ?
結衣(ゆい)
ふぇっ、
あ……園子さん
ぐったりなさってましたけど、大丈夫ですか?
結衣(ゆい)
はい、元気です……あはは
園子(そのこ)
まだ転校してきたばかりですからね~。
色々慣れてなくて大変ではないですか?
結衣(ゆい)
……まあ、多少は
園子(そのこ)
授業とか、大丈夫でした?
分からないところがありましたら、少しはご相談に乗れますけど……
結衣(ゆい)
ありがとうございます。
でも勉強の方は大丈夫そうです。
前の学校の方が先の範囲まで進んでいたみたいで
園子(そのこ)
そうですか、
お役に立てなくて残念です。
むしろ最大の問題は……体育の時間になるだろう。
幸いにも今日は体育はないみたいだけれど、着替えとかどうすればいいんだ?
……後で、葵お嬢様に相談した方がよさそうだな。
と、その時になって
教室にお嬢様の姿が見えないことに気がついた。
結衣(ゆい)
あの、園子さん。
葵お嬢様は……
園子(そのこ)
葵さんでしたら、理事長室に行かれましたよ。
お昼はだいたにいらっしゃるので……
結衣(ゆい)
お昼休みにお仕事されているんでしょうか?
園子(そのこ)
みたいですよ。お昼ご飯も理事長室でお召し上がりに。
ええと……それで、結衣さん
何だかモジモジしながら、チラチラと見つめられる。
園子(そのこ)
お昼ご飯、ご一緒にして頂けませんか?
結衣(ゆい)
あ、はい、それはもちろん。
でも、二人で……ですか?
園子(そのこ)
いつもは杏子さんと一緒なんですけど、
今日は用事があるからって振られてしまって
結衣(ゆい)
ああ、なるほど……
そういうことなら、相手が園子さんだと比較的話しやすいし、願ってもないことだった。
園子(そのこ)
ふふっ、一人ごはんは寂しいので助かります。
では、学食の方にご案内しますね
結衣(ゆい)
はい、ありがとうございますっ
園子(そのこ)
お昼ご飯の後は、
校内を色々見て回りましょうか♪
結衣(ゆい)
いいんですか?
ご迷惑では……
園子(そのこ)
特に用事もありませんし、
むしろ退屈しのぎに是非っ
結衣(ゆい)
あはは、それじゃあお言葉に甘えて。
お願いしますね
園子(そのこ)
はいっ♪
何だか、園子さんと話していると
すごく穏やかに話が進んでいって……和むなぁ。
そう、やっぱりこういう空気だよね。お嬢様学校って!







__
その後は、学食で昼食を済ませて__
食後の散歩がてら、校舎を出て、
まずは中庭を案内してもらえることになった。
園子(そのこ)
学食のお料理は如何でした?
量は少なめですけど、お味はなかなかですよね♪
結衣(ゆい)
え……、ええと……
困ったな……食べている最中は言わなかったけれど、全然違う感想だったりする。
園子(そのこ)
あれ、微妙な反応……?
お口に合いませんでした?
結衣(ゆい)
あのハンバーグとか、
思いっきりレトルトだったように思います……
いや、まあ、レトルトが悪いとは言わないけれど。
それでもやはり、手ごねでちゃんと焼いたものに比べれば、
食感もお肉の味わいも、数段落ちると言わざるを得ず……。
園子(そのこ)
すみません、
ご満足頂けなかったみたいで……
結衣(ゆい)
いえいえっ、
園子さんが悪いわけではっ
園子(そのこ)
でも、それなら明日からどうしましょう……?
学食以外ですと、パンを買うか朝のうちにコンビニで何か買ってくるくらいしかないんですけど
結衣(ゆい)
コンビニは論外……。
パンも、工場で大量生産しているのは微妙だし……
園子(そのこ)
い、意外とグルメさんなんですね
若干引き気味に言われて、はっと我に返る。
結衣(ゆい)
あ、す、すみませんっ!
今のは独り言で……!
声に出ちゃってました?
園子(そのこ)
はい、思いっきり。
結衣さん、食べ物にはこだわるほうなんですね~
結衣(ゆい)
そう、かもしれません……あはは。
ちょっと大変ですけど、明日からはお弁当作ってこようと思います
園子(そのこ)
手作りお弁当ですか~。
それもいいですね~。
早起き出来そうなら、私もそうしようかな……
結衣(ゆい)
よかったら、園子さんの分も作りましょうか?
園子(そのこ)
いえ、そこまでして頂くのも悪いですし……。
それに、お友達とお弁当のおかず交換とか、楽しそうです♪
園子(そのこ)
結衣さん、お天気が良かったら、明日はここで一緒にお弁当食べませんか?
この季節でしたら、外で食べても気持ちよさそうですよ♪
結衣(ゆい)
園子さん……。
はい、ありがとうございますっ
園子さんの作るお弁当って、どんなのだろう?
素直に、明日が楽しみだなって、期待が膨らんでいく。
園子(そのこ)
それより、ご案内の途中でしたね。
ええとですね、ここが中庭で、この道をまっすぐ行くと図書館があってですね……
園子(そのこ)
他に校舎の外にある施設というと、
グラウンドと体育館が向こうの方に__
と、園子さんが校舎の裏へと続く小道を指したとき・
杏子(あんず)
お?園子さんに結衣さん。やっほー♪
丁度そちらの方から、杏子さんが歩いてくるのが見えた。
杏子(あんず)
二人とも、こんなところでどうしたの?
お昼ご飯は済んだ?
園子(そのこ)
はい♪
今は学園の中をご案内してるところです。
杏子さんの方はどうでした?
取材、順調でした?
杏子(あんず)
ばっちり!
今日中に記事にまとめておくね~。
園子さんの方は、今日って部活どうするの?
園子(そのこ)
うーん、ちょっとだけ顔は出すつもりですけど……
急ぎの用事はないですよね?
杏子(あんず)
うん、まだ余裕あるし
園子(そのこ)
でしたら、持ち帰りにしちゃいます。
放課後も結衣さんに色々とご案内しちゃおうかと
杏子(あんず)
りょうかい~。
それじゃ、あたしは昼休み終わる前にごはん食べてこないと
園子(そのこ)
はい、いってらっしゃいです♪
杏子(あんず)
結衣さんも、また後でね~
結衣(ゆい)
あ、はいっ、
またのちほど
園子さんと何か色々と話してから、
杏子さんは僕らが出てきた学食の方へ去っていく。
結衣(ゆい)
あの、園子さん。
取材とか部活って……?
園子(そのこ)
ええとですね、私と杏子さん、新聞部に入っているんです。
一応、私が部長なんですよ~
結衣(ゆい)
新聞部ですか?
ちょっと意外です……
園子(そのこ)
そうですか?
園子さんって、大和撫子やまとなでしこな雰囲気で茶道部とかの方が似合いそうに思ったけれど……。
見た目よりは、案外活発な人なのかも知れない。
第一印象で決めつけたりするのは良くないよね……反省。
結衣(ゆい)
葵お嬢様や絵理栖さんは、
何か部活動はしてらっしゃるんですか?
園子(そのこ)
葵さんは理事長のお仕事でお忙しいですし、特に何も。
絵理栖さんは__
園子(そのこ)
折角せっかくなので、行ってみましょうか♪
結衣(ゆい)
えっ、行くってどこに……
園子(そのこ)
ついて来てくだされば分かります。
どのみち、この後ご案内しようと思っていた場所ですし
園子(そのこ)
では、しゅっぱつしんこー♪
くるりと背を向けて、僕を先導しながら歩いていく園子さん。
とにかく、大人しくついていくことにした。







__
絵理栖(えりす)
ククク……
ようこそ我が知恵の泉に。
自ら我が元へ足を運ぶとは、殊勝しゅしょうな心がけであるぞ
結衣(ゆい)
ええと……
園子(そのこ)
ここが図書室です♪
絵理栖さんは、図書委員をしてらっしゃるんですよ
結衣(ゆい)
そ、そうですか
園子さんが僕を連れてきたのは、見ての通りの図書室だった。
そして僕らの足を見つけるなり、絵理栖さんが邪悪な笑みを浮かべながら歩み寄ってきたのだけど……。
結衣(ゆい)
絵理栖さん、学校の中でもその調子なんですね
絵理栖(えりす)
フッ、我はネコなど被らぬ。
被るのは黒竜の瘴気しょうきのみよ
うん、全く意味が分からない。
むしろ意味なんて特になさそうな気がする。
園子(そのこ)
絵理栖さん、とても熱心に活動していらっしゃるんですよ。
昼休みや放課後はおおむねこちらにいらっしゃいますし
そして全く気にした風もなく話を進める園子さん。
慣れているのか、安定感のあるスルーっぷりだった。
結衣(ゆい)
ずっと図書室に……。
あの、それってもしかして、教室に居場所がないとか……?
絵理栖(えりす)
ふぇっ!?
そそそ、そんなわけないのだ!?
園子(そのこ)
えっ、図星なんですか……?
絵理栖(えりす)
なっ、ちがっ、全然違うもんっ!
……って、おほんっ!
そこで絵理栖さん、自分が素に戻っているのに気づいた様子。
絵理栖(えりす)
ククッ、
我がこの地にいるのは重要な職務を果たすため……。
我はこの館に刻まれしアカシックレコードを管理しておるのだ
……やっぱり何だか、それっぽいことを言ってみただけという感じがしなくもない。
とはいえ、このまま無視するのも気まずいよね……。
結衣(ゆい)
えーと……まあ、
知識や記録は大切ですからね
絵理栖(えりす)
おお……左様!
我は魔王軍の情報局長でもあるのだ!
スルーされなかったのが嬉しいのか、
絵理栖さんは目をキラキラさせながら食いついてきた。
絵理栖(えりす)
フフフ、世界を支配するための情報戦の準備は整っている……
絵理栖(えりす)
フハハハハハハハッ!
知識を制する者が世界を制す!
我が覇業はぎょうが成し遂げられるのも間もないことであろう!
園子(そのこ)
絵理栖さん?
図書室ではお静かに
絵理栖(えりす)
あ、はい……
ごめんなさい
園子さんがにこりと微笑み、絵理栖さんはあっさり誤った。
絵理栖(えりす)
あの、園子センパイ……?
起こってる?
園子(そのこ)
今はまだ怒ってないですよ?
とっても聞き分けのいい後輩で助かります♪
絵理栖(えりす)
う、うん、
絵理栖は聞き分けのいい良い子だよ?
絵理栖さんは、ちょっと園子さんのことが苦手みたいだ。
まあ、普段穏やかな人が怒ると怖いらしいから……。
園子(そのこ)
それよりも絵理栖さん。
結衣さんは転校生ですし、本の貸し出しカードとか、新しく作らないといけないと思うのですが……
絵理栖(えりす)
そうだったっ!
結衣センパイ、ちょっと待ってて?
司書の先生に聞いてくるっ
結衣(ゆい)
あ、はいっ
絵理栖(えりす)
すぐ戻ってくるからっ!
失礼しますっ
ぺこりと頭を下げて、
受付カウンターへと走っていく魔界将軍(自称)。
根はすごく良い子みたいだから、
『うるさい』とかなるべく思わないようにしてあげよう。
園子(そのこ)
待っている間どうしましょう?
何か読みたい本とかありますか?
結衣(ゆい)
急に言われても……。
園子さんは普段はどういう本をお読みになるんですか?
単に話題の一つとして、興味本位で尋ねてみる。
園子(そのこ)
そうですねぇ……。
主に古典の日本文学と……
ああ、お料理の雑誌もよく借りていますよ♪
結衣(ゆい)
お料理の……
園子さん、さっきもお弁当を作るって言っていたし、これはもしかして。
結衣(ゆい)
あ、あのっ、園子さんっ!
園子(そのこ)
は、はい……?
結衣(ゆい)
お料理、ご趣味なんですかっ?
園子(そのこ)
はい♪
時々、試しに作ってみる程度ですけど。
趣味と言えば趣味ですね~
結衣(ゆい)
その、実はボクもなんですっ!
園子(そのこ)
あら、そうだったんですか?
結衣(ゆい)
えへへ……
趣味の合いそうな人が近くにいて、なんだか嬉しいですっ
園子(そのこ)
くすっ、本当ですね~。
結衣さん、すごくはしゃいでいます
結衣(ゆい)
わわっ、すみません。
いきなり馴れ馴れしくて
園子(そのこ)
いえ、ですけど趣味まで一緒なんて、
結衣さんとは仲良しのお友達になれそうな予感ですっ♪
結衣(ゆい)
……はいっ♪
本当に、いいなぁ……
園子さんって。素敵な人だ!
園子(そのこ)
あ、私、ちょっといいことを思いついちゃいました!
園子(そのこ)
今日のお夕食、改めて結衣さんの歓迎会にしたいです。
久しぶりに沢山ご馳走作っちゃいますよっ
結衣(ゆい)
えっ、でも、
そこまでして頂かなくても……
園子(そのこ)
遠慮なんてなさらないで下さい。趣味ですから♪
むしろ是非是非!私にやらせて下さいっ
結衣(ゆい)
そ、そうですね……
趣味なら……
料理を作るのは楽しい。
その価値観は僕も共有していたから、
だったらいいのかな、という気分になってくる。
園子(そのこ)
では、決まりですねっ♪
よぉし、今夜は頑張っちゃいますよ~
結衣(ゆい)
あはっ……ありがとうございます。
楽しみにしていますねっ
そのまま押し切られる形となってしまったけど、
何だかくすぐったい気持ちでお言葉に甘えることにした。
園子(そのこ)
ふふっ、何を作りましょうか。
腕が鳴っちゃいますね~
ペットボトルにおしっこをする葵お嬢様とか、
中二病の絵理栖さんとか、
ちょっぴり変な人の比率が高い第二寮だけど___
園子さんだけは、すごく理想の女の子っぽくて、
僕にとって唯一の『癒し』になってくれそうだった。

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春香かなた
春香かなた
『心温まる優しいプリ小説』を趣旨に執筆しています。 〇投稿作品 『僕のシークレット!(第20回プリコン作品)』【全51話】 『雪の降る街へ。第一部「青春編」(運営のおすすめ作品掲載)』【連載中】 作品の感想など、コメントをしてくれると嬉しいです。 〇七つのかなたルール ●『媚びない』 ●『手を抜かない』 ●『未完にしない』 ●『オリジナルのみ執筆』 ●『バッドエンドにしない』 ●『鬱・病み・グロテスク表現はNG』 ●『心温まる優しい作品を執筆する』 これら7つを厳守してプリ小説をやっています。
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