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第10話

手作り料理で歓迎会①
授業が終わると、
園子さんから『一緒に帰りませんか』とお誘いを頂いた。
その前に新聞部の部室に寄ってくるという話だったので、
校門で待ち合わせすることになったのだけど……。
園子(そのこ)
お待たせしました~、
結衣さんっ
結衣(ゆい)
いえ、ボクも来たばかりですから
園子(そのこ)
くすっ、何だかデートの待ち合わせみたいですね
結衣(ゆい)
そ、そうですね……あは
そんな風に言われると、ちょっぴりドキドキしてしまう。
園子(そのこ)
それじゃ、行きましょうか。
近くのスーパーで構いませんか?
結衣(ゆい)
はい、よろしくお願いしますっ
この後は、食料品や日用品の買い物が出来るお店を教えてもらえることになっている。
引っ越してきたばかりの身としては、
色々と揃えておきたいものもあって有り難い限り。
こころよく案内を引き受けて下さって、
本当に園子さんにはお世話になりっぱなしだった。
結衣(ゆい)
あの、園子さん、ありがとうございます。
本当に、色々と親切にして下さって……
園子(そのこ)
急にどうしたんですか?
私、普通のことをしているだけですよ
真面目にお礼を言うと、困ったように苦笑されてしまう。
園子(そのこ)
私もお料理の材料を買いに行くんですから、
ついでみたいなものです。気になさらないで下さいね?
結衣(ゆい)
……はいっ
それでもいつか、ちゃんとお礼はしたいな、と思う。
何だかんだで転校してきて心細い気持ちもあったから、
親切にしてもらえて本当に安心している。
園子(そのこ)
さあ、こっちですよ。
はぐれないようについてきて下さいね?
結衣(ゆい)
そこまで子ども扱いしないで下さい……
くすりと微笑み歩き出す園子さんに、
小さく苦笑しながらついて行く。
ちょっとだけ、親鳥の後ろに付き従う雛の気分だった。








__
園子(そのこ)
というわけで、こちらが最寄りのスーパーです♪
結衣(ゆい)
……ちょっと高そうな雰囲気ですね
園子(そのこ)
そうですか?
あんまり値段とか気にしたことはないですけど……
このあたりは、やっぱりお金持ちのお嬢様だった。
結衣(ゆい)
まあ……でも、値段なりのいい品物みたいです
野菜とかも、見た感じ新鮮で形のいいものが揃っている。
そしてそういった食材の山を見てみると、
内心うずうずしてくるものがある。
ああ、あのキャベツとか使ってお料理したい……。
だが、今日は我慢だ。
園子(そのこ)
えーっと、
今日は何を買いましょうか……
だってこの後は、園子さんがご馳走を作ってくれるのだから。
結衣(ゆい)
ちなみに、何を作って頂けるんでしょうか?
園子(そのこ)
まだ考え中です♪
それに、決まっても秘密ですよ?
出来上がってからのお楽しみといことで
結衣(ゆい)
あはは、
でしたら、食材を見て想像だけ膨らませておきますね
園子(そのこ)
はい、とりあえず色々見て回りましょう♪
どうやら園子さんは、
旬の食材を選びながらメニューを決めるタイプらしい。
かごを取って、店内をうろうろと歩き始める園子さん。
その隣で並んで歩きながら、
折角なので明日の朝食の材料とかも見繕みつくろいつつ__
園子(そのこ)
結衣さん。このイチゴ、試食出来るみたいですよ。
はい、あ~ん♪
結衣(ゆい)
ふぇっ、
い、いただいますっ……っ
園子(そのこ)
ふふっ、
甘くて美味しいですっ
ああ、このシチュエーション……
スーパーで、男女が寄り添って歩きながらお買い物とか!
これってもしかしたら、周りからは新婚さんみたいに__
結衣(ゆい)
(見えるわけないよね……うん)
今の自分の格好を思い出して、
浮かれた気分はあっけなく霧散むさんしていった。
どこからどう見ても、
女の子同士で部活の買い出しか何かに来ている光景だ。
……しょんぼりだよ、本当に。
結衣(ゆい)
……ところで、園子さん
どうにか気を取り直して、
食材を吟味ぎんみしている園子さんに話しかけてみる。
園子(そのこ)
はい、どうかなさいました?
結衣(ゆい)
寮の冷蔵庫の中、今朝はほとんど空っぽでしたけど……
普段はご飯ってどうしているんですか?
園子(そのこ)
そうですねぇ、朝ご飯以外は出前が多いですね。
菜々美先生が作るの面倒だからそれでいいでしょって
生徒に家事をやらせたりしていないのは、
その時間で勉強しろ……とかそんな理由なのだろうか?
結衣(ゆい)
でも、それだと栄養が偏ったりしませんか……?
園子(そのこ)
うーん、ですよねぇ?
私も気になっていたんです、やっぱり、ちゃんと考えて作らないと良くないですよね?
結衣(ゆい)
はい、毎日食べるものは
きちんと手作りしないと駄目だと思います
これは僕の信念みたいなものだから、きっぱりと言い切った。
結衣(ゆい)
あの、園子さん。
提案なんですが、園子さんもお料理できるなら、
これからはボクたちで手分けして夕飯の準備とか……
園子(そのこ)
え……、
私と結衣さんで、作るんですか?
結衣(ゆい)
大変そうなら、
どうしてもとは言えないですが……
郷にいれば郷に従えとか言うことだし、
やっぱり迷惑かな……などと思ったけど。
園子(そのこ)
……!
いえっ、それ、とてもいいと思います!
是非やりましょうっ
思っていた以上に勢いがよく、乗り気の返事が戻ってきた。
園子(そのこ)
私、もっとお料理したいな~って思っていたんです。
でも、一人で作るのは責任が持てそうになくて
結衣(ゆい)
そうだったんですか……
でも、二人で分担すれば
園子(そのこ)
はいっ♪
今夜にでも早速、菜々美先生と葵さんに相談してみましょうっ
よかった……
出来合いの食事ばかりだと正直辛いから、本当に良かった。
園子(そのこ)
でもその前に、今日のお夕食は私だけで作りますからね?
結衣さんの歓迎会なんですから
結衣(ゆい)
あはは、分かりました。
言われるまでもなく、すごく楽しみにしていますので
園子(そのこ)
それに、ほっぺた落ちそうなご馳走作っちゃえば、
先生も葵さんも私達に任せるしかなくなっちゃいます
結衣(ゆい)
自信満々ですね、頼もしいですっ
園子(そのこ)
ふふっ、
気合が入って来ましたっ!
嬉しそうに、次々と食材をかごに入れ始める園子さん。
誰かに手作りの料理を振舞ってもらえるなんて、
おばあちゃんが入院して以来のことだ。
どんな料理が出てくるのか食材からは想像もつかないけれど、
本当に久しぶりで、嬉しくて。
僕はますます、園子さんへの憧憬しょうけいを深めていく。

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春香かなた
春香かなた
『心温まる優しいプリ小説』を趣旨に執筆しています。 〇投稿作品 『僕のシークレット!(第20回プリコン作品)』【全51話】 『雪の降る街へ。第一部「青春編」(運営のおすすめ作品掲載)』【連載中】 作品の感想など、コメントをしてくれると嬉しいです。 〇七つのかなたルール ●『媚びない』 ●『手を抜かない』 ●『未完にしない』 ●『オリジナルのみ執筆』 ●『バッドエンドにしない』 ●『鬱・病み・グロテスク表現はNG』 ●『心温まる優しい作品を執筆する』 これら7つを厳守してプリ小説をやっています。
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