じゅんたさん、という人は
ゆっくりゆっくり話す私の話を
うんうん、と何度も頷きながら
聞いてくれた。
とても優しく接してくれて
そのせいか、風磨くんにとって“敵”である存在の
彼らに全部話してしまった。
私がなぜ風磨くんと関係があるのか。
なぜ風磨くんの家にいるのか。
どうしてあの場にいたのか。
ミヤビさんの身代わりに、強制的になったことも…。
「 つまり、あなたちゃんは
ヤクザとなんも関係ない、一般人ってことやんな? 」
えくぼの人が、私に聞く。
しげおかさんって、いうんだって。
「 はい 」
大毅「 うわ、俺一般人の女の子
誘拐してもーたんか… 」
淳太「 あなたちゃん
悪いけど、しばらくここにいてもらうで
危害は加えへん
“菊池組”にも手出さへん
一週間たったら、俺らが菊池組まで
送り届けるから 」
不安でいっぱいだった
だけど、皆さん優しかった。
でも、あの話をした以来、
重岡さんと、淳太さんの姿を
見なくなった。
そのかわり、
きりやまさんっていう人が
まるで番犬みたいに
いつも一緒にいてくれた。
神ちゃん(って呼んでっていわれた)は
美味しいお茶をいれて
三時に一緒にティータイム。
流星くん(って呼んでっていわれた)とは
一緒に勉強した(だけど流星くんは全然答えがわからなかった)
よく考えたら、風磨くんのまわりには
学生ばっかりで、
重岡さんのまわりには
もう成人した人ばっかり。
全員だと思っていたけれど
のんちゃん(って呼んでっていわれた)は
まさかの私と同い年。
もちろん、風磨くんは“ 次期 ”で
重岡さんは“ 現 ”だから
それも関係あるのかもしれないけど。
…風磨くん…。
思い出すと、また寂しくなる。
でも、一週間というのは
あっという間で
私が風磨くんの家に帰る日がきた。
菊池組も
重岡さんの、とこも
優しい人たちばっかりで
どうして敵対しあうんだろう、って
思ってた。
その理由を知ったのは
私が帰ってすぐのこと。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。