第22話

デート 1
286
2020/03/20 19:31

大きなアラームの音で私は目を覚ます。


時間は……7時半。



よし。


私は洗面所で顔を洗い、

長い髪をアイロンでストレートにする。


巻くのはあんまり得意じゃない。


学校ではいつもポニーテールだし。




髪のセットが終わり、


昨日寝る前に準備していた服を着る。





お、いい感じ!


にしても……どこに行くんだろ。




それから、朝ごはんを食べ、歯磨きをし、準備を済ませた。



スマホを見ると、時刻は8時50分。



待ち合わせは9時。



やばっ!



私は駅の近くの公園まで走って向かった。








天野由希
ごめん!ひろ!
元田裕翔
全然。

結局10分遅れてしまった。

天野由希
待ったでしょ!
元田裕翔
あぁ、待ったな。
天野由希
そこは「待ってないよ」って言うところでしょ。
元田裕翔
それを俺に期待してたわけ?
天野由希
別にしてないけど。


あー。



私たち、普通のカップルじゃないわ……


天野由希
で、どこ行くの?
元田裕翔
まあ、この辺だと知ってる人いるだろうし、ちょっと遠出がいいかなって思ってさ。隣町の遊園地にした。
天野由希
遊園地!?
元田裕翔
絶叫好きだろ?
天野由希
うん!


でも、なんで知ってるんだろ。




そんな話したっけ?



想像?


私ってそんなに絶叫好きそうかな。


元田裕翔
なんで知ってんだ?って思ってる?
天野由希
う、うん。
元田裕翔
まあ、色々とね。
天野由希
教えてくれないの?
元田裕翔
今はね〜。



なんか……



色々と見透かされてそうだな。




ちょっとずるい。



今日は私も観察してみよっと。




それから、私たちは電車とバスに乗り、隣町の大きな遊園地に行った。




フリーパスを買い、早速人気のジェットコースターの列に並ぶ。


天野由希
ねぇ、ひろはさ、家族ってどんな感じ?
元田裕翔
俺ん家は姉と弟と父さんの4人暮らし。
天野由希
え?
元田裕翔
母さんは俺がまだ幼稚園の頃に家を出ていったらしい。



そう……なんだ。



天野由希
私はね、お父さんが4歳のころに交通事故で死んだ。相手の飲酒運転でね。
元田裕翔
許せないな。
天野由希
うん。でも、一番お母さんが許せなかったと思うのに、お母さんはお兄ちゃんと私のために必死に働いてくれたの。
元田裕翔
そっか……
俺の父さんはさ、働いてばっかで、姉貴がずっと面倒みてくれてたんだよね。


お互い……



片方の親を失ってるんだ。




元田裕翔
あ、もう少しじゃん。
天野由希
そうだね。


なんか暗い雰囲気になっちゃった……



元田裕翔
お、来た来た!


それから、私たちは超人気ジェットコースターに乗った。

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