第20話

恋バナ
292
2020/03/20 19:28

最近の昼休み、私は美咲と莉子と3人でいることが多い。


田中莉子
ねぇ、そーいえばさ、美咲って好きな人いるの?
立花美咲
えっ!?


わお……


莉子が急にそんなこと聞くから、美咲がびっくりして席立っちゃった。


天野由希
み、美咲?
立花美咲
えっ?あ……


クラス中の視線を浴びて、美咲は恥ずかしそうに席に座る。


でも、大体の男子の目はハート。

田中莉子
で、いるの?
立花美咲
え?まあ、い、いないといえば嘘になるかもだけど……


え、そうなの?


意外。


こんな奴ら相手にしてないって感じかと思ってた。

田中莉子
ほー!じゃあ、気になってるって感じ?
立花美咲
そう……だね。
天野由希
えー?誰?


気になる!!



だってこの美咲が気になる人だよ?



片山とかは絶対にないわ。


立花美咲
この前、ボウリング行ったじゃん?
田中莉子
うんうん!
立花美咲
そのときに裕翔くんとペアになったじゃん?



え?


もしかして……


いや、まだ話の途中だし……




立花美咲
そのときに優しく教えてくれたり、笑顔とかいいなって思って……


……え?



田中莉子
じゃあ、気になってる人って裕翔くん?
立花美咲
うん。



そんな……




ここは言うべきなの?


ひろとも誰にも言わないって言ったし……



何より、美咲が悲しむ顔を見たくない。




でも、どっちにしろ、美咲は悲しむ……のかな。


どうすればいいんだろう。







立花美咲
カッコイイよね……
田中莉子
あれは、イケメンよ。
立花美咲
ねー!



美咲を見る度に心が痛む。



美咲が話す度に心が痛む。



美咲が笑う度に心が痛む。





こんなの初めてだよ。



友達と好きな人が被るっていう漫画とかはよく見る。


でも、現実でこんなのあるなんて思ったことなかった。



しかも、自分がこんな立場にいるなんて……


田中莉子
由希?
天野由希
あ、なんでもない。
立花美咲
莉子ちゃんは?
田中莉子
私は……春也かな。


えぇ!?



春也?


田中莉子
なんかもうドキドキって感じはないんだけどさ、好きって思うし、一緒にいて楽しいなって。
立花美咲
そっか。なんかいいね、そういうの憧れる。
田中莉子
美咲もこの前のボウリング、めっちゃお似合いだったよ?ね?由希?


え……


天野由希
あ、うん……



あぁ。



バカだ……


なんで自分の彼氏と自分の友達をお似合いなんて言ってんのよ!


確かにお似合いだと思うよ?


美男美女だし。


でもさ……



ね?


嫌だよ、やっぱり。


立花美咲
由希ちゃんは?
天野由希
私は……い、いないかなぁ。


なんでよ



今もせっかく言えるチャンスだったのに。



私はずっとこのまま美咲に嘘をつき続けるの?




そんなのやだよ。

プリ小説オーディオドラマ