第30話

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2020/03/27 23:00
あれから私とひろは校内に広まらないよう、みんなにお願いした。

その結果……



これ?

田中莉子
いいねー!なんか新鮮!
片山たける
だよな!!

何故か、みんなで登校することに。


まあ、私たちを一緒に登校させるためにみんなが付き合ってくれてるんだろうけど……

別に今まで通りでよかったのにな。


さすがに朝っぱらからこのテンションにはついていけない。


田中莉子
ちょっと由希!?まだみんなで行くこと納得いかないの!?
天野由希
納得するも何も、登校を一緒にすることに意味があるの?
田中莉子
由希、青春は一度しかないんだよ!?
天野由希
はぁ?


あ、でもこのままだと熱弁しだすかも。


面倒くさくなる前に、どうかしないと……


天野由希
でもさ、みんな家バラバラじゃん?
田中莉子
結構近い方じゃないの?
天野由希
え……


私と春也は同じマンションに住んでいて、片山や莉子の家は高校に近い。

ひろはどちらかといえば私たちのマンションに近い方らしいけど……

美咲は遠いし。



ただ、みんな結局は同じ公園の前を通るわけで……

莉子がその公園に集まって行こうと言い出したのだ。

田中莉子
とにかく!青春を楽しまなきゃ!
片山たける
そーだなっ!!

この2人以外みんなテンション低いけど?

と思ったが、このまま莉子に言い返してもあまり意味がないということを悟った。



それから五分ほどして学校に着いた。



まあ、6人でいることだし、注目は避けられるかなと思ったけど……


甘く見てた。



ひろの人気度を。



みんなからこんなに注目されて登校するなんて初めてだし、なんか言われてるんだろうな……


それに、美咲もいるわけで……大注目。


ほとんどの女子と男子の目はハート。



すれ違う度に女子は手で顔を覆い、男子はデレデレと気持ち悪い笑みを浮かべている。


初日でこれ?


こんなのやってけないわ……




田中莉子
すご……なんか、女優になった気分。

は?


片山たける
それな。なんかスターになった気分〜!

何2人ともいい気になってるのよ。

単純というか、ちょっとズレてるというか……

なにより、この状況をよく思ってることが信じらんない。


堀田春也
お前ら、いつも大変だな。

春也……どっちも大変だわ。

この2人はいつもこんな感じなのかわかんないけど、注目浴びて迷惑だろうし。


もう一方の2人の頭はもう……どうもできない。

元田裕翔
なんかごめん。
天野由希
何が?
元田裕翔
嫌でしょ?
天野由希
別にひろのせいじゃないし。気にしないで。
元田裕翔
あ、ありがと。



そりゃあ嫌だけども……そんなこと言えるわけないし。

我慢するしかないか。

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