あれから私とひろは校内に広まらないよう、みんなにお願いした。
その結果……
これ?
何故か、みんなで登校することに。
まあ、私たちを一緒に登校させるためにみんなが付き合ってくれてるんだろうけど……
別に今まで通りでよかったのにな。
さすがに朝っぱらからこのテンションにはついていけない。
あ、でもこのままだと熱弁しだすかも。
面倒くさくなる前に、どうかしないと……
私と春也は同じマンションに住んでいて、片山や莉子の家は高校に近い。
ひろはどちらかといえば私たちのマンションに近い方らしいけど……
美咲は遠いし。
ただ、みんな結局は同じ公園の前を通るわけで……
莉子がその公園に集まって行こうと言い出したのだ。
この2人以外みんなテンション低いけど?
と思ったが、このまま莉子に言い返してもあまり意味がないということを悟った。
それから五分ほどして学校に着いた。
まあ、6人でいることだし、注目は避けられるかなと思ったけど……
甘く見てた。
ひろの人気度を。
みんなからこんなに注目されて登校するなんて初めてだし、なんか言われてるんだろうな……
それに、美咲もいるわけで……大注目。
ほとんどの女子と男子の目はハート。
すれ違う度に女子は手で顔を覆い、男子はデレデレと気持ち悪い笑みを浮かべている。
初日でこれ?
こんなのやってけないわ……
は?
何2人ともいい気になってるのよ。
単純というか、ちょっとズレてるというか……
なにより、この状況をよく思ってることが信じらんない。
春也……どっちも大変だわ。
この2人はいつもこんな感じなのかわかんないけど、注目浴びて迷惑だろうし。
もう一方の2人の頭はもう……どうもできない。
そりゃあ嫌だけども……そんなこと言えるわけないし。
我慢するしかないか。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。