第17話

自分の気持ちを伝える
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2020/03/20 19:22

あれから、教室に戻ると


みんなは「大丈夫?」としか声をかけてこなかった。


なんか見られてる感じはすごかったけど。


元田裕翔
由希。話したいことがある。


机に伏せていた頭を上げると、そこにはひろがいた。


天野由希
話したいこと?
元田裕翔
あぁ。


そんなこんなで、今日一緒に帰ることになってしまった。


少し嬉しいと思っている自分がいる。


それがすごく嫌だ。


でも、もう自分が分かんない。



どうしよう。










あれから、そんなことをずっと考えているとあっという間に放課後になった。




元田裕翔
由希。
天野由希
分かってる。


私はひろと外に出た。


天野由希
話って何。
元田裕翔
ごめん。昨日のこと。
天野由希
何をごめんって思ってるの?


そういうと、予想外の返答だったのか、ひろは固まってしまった。

元田裕翔
え、あの……その……あの女の子の……なんじゃないのか?


あの?


女の子?


あぁ。



私は思わず、吹き出してしまった。

元田裕翔
な、なんで笑うんだよ!
天野由希
だって違うもん。
元田裕翔
えっ!?えぇっ!?
天野由希
確かに、今日のも貧血だし、体調は悪かったよ?でも、昨日のはただのしっ……
元田裕翔
しっ?


やばい。


嫉妬なんて言おうとしてた?


しっ、疾走?


失敗?


いや、どう誤魔化せばいいのか……




天野由希
もう、なんでもない……
元田裕翔
は?なんだよ……


あー。



こんなのだから、嫌われるんだよ。



昔の自分が出てきて嫌になる。



人のせいにして


自分は悲劇のヒロインみたいな立場にいて




最低な昔の自分。



もう最低になんかなりたくない。


そう思って、自分の気持ちはなんでも言おうとそう決めた。


なのに、また昔の自分が出始めてる。



言おう。


なんと言われてもいい。



自分の今の気持ちを。

天野由希
ひろはさ、私といて楽しい?
元田裕翔
え?
天野由希
私は最初あった時、なんなのこの人って思った。

そう。


最初はね……

天野由希
でも、今はなんか一緒にいて楽しいし、落ち着く。

なんか昔からの友達ってくらい

安心するの。

天野由希
気づいた時には嫉妬してたりしてて……

昨日まで気づかなかった。


天野由希
好きなのかもしれない。

自分でも驚いてる。


最初はあんなに好きなんて思うところひとつもなかったのに。


今は


ひろと一緒にいて楽しく思える。


こんな短期間で




こんなに人の感情って変わるんだなって思う。

元田裕翔
誰のことが?
天野由希
は?
元田裕翔
誰のことが好きなの?相談乗ろうか?


え……



ひろって鈍感だったの?



この状況で他に誰が考えられるのよ。

天野由希
ひろ以外いるわけないでしょ。
元田裕翔
え?


またフリーズしちゃったよ……



てか、こっちが恥ずかしいんだけど。
元田裕翔
俺……由希には相当嫌われてるって思ってた。
天野由希
なんで?
元田裕翔
なんとなく。だから、嬉しいのと驚きで……


まあ、驚くのは無理ないでしょうね。


元田裕翔
もう少し考えさせてもらっていい?
天野由希
あ、全然。


考えてくれるんだ……


すぐに断られるって思ってたけどね。




少し嬉しい、いや、すごく嬉しい。



明日は、みんなにきちんと謝ろう。


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