俺、今日知らない奴と歌うみたいだ
「なぁ、誰だよ、手越と浅倉ってヤツ知ってるか?」
「知らねー」
「おい、誰だよ。手越と浅倉ってやつ」
「知らねーって」
「なんであんなヤツがマイク持つんだよ」
「だよなー」
「お前らの歌が下手だからだろーが」
「は?」
「ちょっと手越くんやめなって」
「誰だ?あいつ」
「なんだよ、調子乗ってんじゃねーよ」
「だよな、増田」
「…うん」
「増田貴久です」
ここは笑顔で言わないとな。
「浅倉レイです。よろしくお願いします」
この子はさっきの人と声が違うな。女の子みたいな高い声
ってことは…
「手越祐也です」
少し気まずそうに挨拶するこっちだな。
まあ、気まずそうにしてるだけいいな
「あいつらか、さっきの」
「そうだな」
一個間違えてるよ。あいつらじゃなくてあいつが正解。
浅倉の考えてることってすぐわかるな
絶対手越なにやってんの!って思ってるでしょ
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。