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第1話

1話
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2018/04/13 12:10
           ~猫が鳴く瞬間は~
「お~い!猫助~!飯の時間だぞ~! 」
…ハァ、また来た…いい加減に飽きないのだろうか?
「…カァ~!!相変わらずウンともスンとも言わねぇな!この猫助!」
「…」
ふぅ…やはりこの老人の対処は無視するのが一番…おっと自己紹介を忘れていたな。私は猫だ。名前はない。…以上…え?説明がざつ?それはしょうがない、本当にただ、それだけなのだから…まぁ、強いて言えば昔事故にあって以来、喋れないことぐらいか?なんでも怪我が治っても後遺症?とかのせいで喋れなくなる場合があるらしい。母猫が知り合いの猫に聞いてきてくれた。治る時は大抵、「時間がたてば自然と喋れるようになる」とか「心の問題を解決すれば喋れるようになる」とか言うものだが…残念ながら私はどちらにも当てはまらない。時間の方は事故にあってから約5年間待ってはみたものの、一向に喋れるようになる気配がない。心の問題の方はそもそも私にはな…
「なぁなぁ!一度でいいから鳴いてみてくれよ~」
…いや、あった…私の今の心の問題。この老人がうるさすぎる!!

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