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第3話

゜:。* ゜.
7,745
2018/12/01 16:57







『………』







目を開けると視界には白が広がっていた。






ここがあの世というやつなんだとぼんやりする頭で考えていたら、









「……あなたっ!」








生前に聞いた筈の声が傍からする。









ありえないその声がする方にゆっくり視線を向けるとそこには、









オッパがいた。









よく周りを見渡すとここは病院らしい。






私の顔を覗き込むオッパの瞼は腫れて、目は赤く充血していた。







きっと私が目を覚ますまでずっと泣いていたんだろう。






『……っ、』






声を出そうと喉に力を入れるとジクッとした痛みが走って、咄嗟に手を当てると喉には包帯が巻かれていた。










「…本当にごめん……ごめん…ごめん……」







歯を食いしばりながら何度も何度も謝るオッパ。








大丈夫ちゃんと知ってるから。






オッパが苦しい思いをしてる事も、私に内緒で病院に通って処方された薬を飲んでいる事だって。






「……っ」






私はそっと、オッパの頬を伝う涙を拭った。











『………(オッパ、泣かないで)』








声は出せないから口だけを動かす。






すると、ちゃんと伝わったようで、オッパは顔に添えられた私の手を取ると震える手でぎゅっと握った。









きっと私達は距離を置かなければいけない。







だけど、オッパから離れるなんてそれこそ耐えられないから、結局また許してしまう。
















私の息の根が止まるいつかその日まで



この歪んだ関係は続くんだ。





















fin.

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