第9話

過去の全て
60
2022/04/28 13:00



全てを、明かす時が_______。





イギリスのとある研究所。





そこでは能力者についての研究を行っていた。
その研究所に収容されていたのがキル。
彼は、能力者だった。




彼は、物心ついたときにはもう研究所にいた。
本当の親の顔も知らない。
研究所に来る前のことも一切知らない。
キルはそれが当たり前だと思っていた。




キルを使って研究されていたのは、能力者の複製。
希少である能力者を人の手で増やせれば、
暮らしも楽になるだろうという考えから生まれた。




そう。その能力者の複製体とは、
キラである。




能力者の複製体を作れたはいいものの、
それは成功と言えるものではなかった。


能力者の複製体が暴走したのだ。
肉体の複製までは上手く行ったものの、
能力の複製は難しかったらしい。
制御できず、生まれて間もない複製体キラ
あっという間に研究所を壊滅させてしまった。



キラの暴走はまだ止まらなかった。
近くにあった村も被害を及んだのだ。



今までキラの過去では、
“あいつに村を燃やされた”
“一番古い記憶は上から燃える村を見ている記憶”
そう言ってきた。
上の文は後に説明するが、
下の文はここまでを見ればわかることだと思う。





村を燃やしたのは、キラなのだ。









村を燃やしたところで力尽きたのか、
キラはそのまま地面に付き、倒れた。
その出来事を全て見ていたキルは、
「自分が、ここにいたせいでキラが作られた。」
「自分がいなければ大量の人を殺すことはなかった」
と、自分に責任を感じ、
せめて、これからキラが一般人として過ごせるよう、
影からサポートしていくことを決める。






数カ月後、キラはとある家で目が覚める。
キルが引き取ってくれるよう、頼んだ家で。



まぁ、キルが記憶を改ざんしただけなのだが。





能力は、複製されなかった。


少しだけ、人より運動神経がいいくらいだった。



話を戻そう。
親戚だと言うその家族はキラにとても優しかった。
学校にも行かせてもらえた。
その学校でも上手く行った。
友達もでき、勉強等も出来たし。
これからも上手くいくだろう、そう、思っていた。





だけど、そうはいかなかった。
研究所が復活した、と言う話が流れ始めたのだ。
もしその話がキラのところまで届いてしまったら。
全てを思い出すのではないか。
そして、また二人は研究所に戻されるのではないか。
そう考えたキル。
だから、キラの関係者には話が広まらないよう何とかしようと考えた。






だが、話が広まるのは早いもので、そのときにはもう遅かった。



気づいた頃にはキラの家族にも友達にも広がっていた。
丁寧に実験体モルモットの容姿等まで。
キラがその中のひとりに当てはまると、誰もが思った。
それが、いじめ等の始まりだった。


 

心当たりのないキラには不気味でしかなかった。
Guinea pigモルモットGuinea pigモルモット、と笑われて。
あの優しかった友達も、家族も消え失せてしまった。




キラに味方は誰もいなかった。






そしてとある日気づけば屋上にいた。
別に気にも止めない。
自分を必要とする人はいないのだから。

前へ進み、足が宙に浮く。
そしてキラは_________。






惨憺な夢僕夢メンバーに招かれることになったのだ。








色々な出来事がキルのせいになってることについては、
キラに昔のことを思い出させたくないため、
キルが記憶を改ざんしたからである。
ちょっとifの話


前、投稿したifの短編で、
「なんであの時、俺を殺さなかった?」
とあるが、
それはキラが研究所の頃のことも全てを知っており、
自分が暴走したとき、キルなら止めれたはずだから、
である。
だが、止めるとは“キラを殺すこと”なので、
それはキルにはできなかった、という話である。
なぜ、キルが死ねばキラが死ぬのか。


答えは簡単。
キラの元となったのがキルだから。
元となった能力者キルが死ねば、複製体キラも死ぬ、というわけだ。
額の十字架について


当時の実験体モルモットという印であった。


だからキルは最初からついている。 


キラについては今まで、


“死んだときに浮き上がったもの”


と、説明したと思うがそれは、


死んだことにより、複製体として成ったから。能力が芽生えた



だが、本人に自分が能力者だという自覚はない。




そして、能力がなんなのかそれを知る人もいない。
キラはキルの複製品のため、稀に夢にキルの記憶が出てくる。


だが、キルの複製品だと知らないキラはそれが何なのか理解することはできない。 


そしてただ忘れていくだけなのだ。
決めていること、全てを書きました。
これがキラの過去の全てです。


説明不足、知りたいこと等あれば答えます。
答えられると思うので。



ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。
長文、お疲れさまでした。

プリ小説オーディオドラマ