第4話

誰かの記憶
70
2022/05/18 02:18
キラ
キラ
んぁ…?
目が覚める。
どうやら、壁にもたれかかって眠っていたようだ。
キラ
キラ
あ…れ。
目元が濡れていることに気付く。
泣いていたんだろう。
キラ
キラ
(何を、見ていたんだっけ。)
思い出せない。
キラ
キラ
(夢なんて、そんなものか。)
そして立ち上がる。
と、
ボロッ…
キラ
キラ
ッ?!
右手首から下が崩れ落ちる。
キラ
キラ
(なんだ…これ)
痛くもないし、痒くもない。
まるで、その部分は最初からなかったかのような感覚だ。
キラ
キラ
(これは…なんなんだ………?)
夢から醒めたはずなのに。
まだ、眠っているのだろうか。
キラ
キラ
立ち上がる。
ここがどこなのか、知る必要があると感じたからだ。
目の前の扉を開け、外に出る。
キラ
キラ
…屋…上…?
あたりは暗く、下に建物の光が見える。
相当高い場所にあるのだろう。
他にも情報はないかと辺りを歩いてみると、
一人の女性が、フェンスの近くに立っていた。
なぜだろうか。
彼女のことは知らないはずなのに、
俺は彼女のことを知っていて、
彼女も俺のことを知っている、そんな気がした。
彼女は俺の方を見ると、ニコッと微笑んだ。
目の前が真っ暗になる。
最後に彼女は、何か言っているようだった。
だが、残念なことに俺の耳には聞こえてこなかった。















キラ
キラ
………ぁ
ベットの上で目が覚める。
見慣れた部屋、元通りの右手首。
次はちゃんと現実みたいだ。
よかった、と安堵しつつ、さっきの夢を振り返る。
キラ
キラ
(俺はあの人を知らない。あそこがどこかもわからない。)
キラ
キラ
(だけど、無関係ではないような。不思議な感覚がする。)
夢とは思えないほどの現実感。
もしかするとあれは誰かの記憶なのだろうか。
キラ
キラ
(だったら誰の…?)

コンコン
リク
リク
キラー?起きてる?
ドア越しにリクが言う。
リク
リク
今日、新しくできた店に行こうって約束してたのに酷いよ!
キラ
キラ
え…あ、あぁ……ごめ…ん。
ガチャ
リク
リク
まだ開店したばっかりなんだからすぐ混むのに!急ぐよ!
走っていくリク。
キラ
キラ
(…………………)
俺も走り出す。
分からないことは結局、忘れてしまうのが楽なのだ。
それが正しい選択なのか、それは誰にもわからないだろうが__。







不思議な感じの物を書きたかったという自己満。
エアフレでキラが言ってたことを参考に作成。
リク君お借りしました。

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