え…話しかけられてる…!?
いや、そんな訳ないし話しかけられたって返す必要もない。
1人が好きだし、友達なんていないし、なによりこんな時間に人がいるのも可笑しいから。
………あ
しまった、絶対に答えちゃ駄目だと思ってたのに…!
つい口が……
も、もしかして…声に…!?
…………
え、なにこの空気感…
…笑った…!?
……は?
人に、自分の名前を伝えたのは何年ぶりだろう
なんだか少し…嬉しかった
待って、"友達になってくれてありがとう"って伝えなきゃ
伝えなきゃ、なのに…
何事も無かったかのように踵を返して去っていく君の後ろ姿に、ちゃんと声を掛けることも出来なかった
でも、なんだろう…
また会えるからいいかなとも思っている自分がいた
それよりも、
胸に広がるざわざわが、嬉しさなのか、それとも___
空は青と灰色の中間色の様な色をして、人々を目覚めさせる準備に入っていた。
フライングして少しだけ差し込んできた太陽が
まるで"お前はこの時間とは関われない"と言わんばかりに輝く。
だから今日も、目を瞑って1日をやり過ごし、今日のような夜が来るのを待つんだ
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。