あぁ、僕、
桜先輩が好き、、、なんだな。
僕は先輩が好きだから、助けになりたいと思った。
でも、ソレが先輩にとって迷惑なら、、嫌われてしまう可能性があるなら、、、
ただ、その心配は杞憂だった。
にこり、と僕の堕ちてしまった笑みをした。
一旦息を吐き、しっかりと目を此方に向ける。
その目が少し潤んでいたのは、気のせいではないだろう。
桜 高校1年生の冬
この日は、私と優斗で一緒に冬のイルミネーションを見に行く予定だったの。
恋人のイルミネーションデートは定番でしょ?
彼女いた事ない五十嵐君は分かんないだろうけど。
優斗はね、決して優しすぎるて訳じゃなかったけど、いい感じのバカ彼氏だったんだ。
だからさ、思わないじゃんか。
優斗さぁ、持病持ってたんだ。全然知らなかった。
んで、そのまま死んじゃった。
漫画みたいな奇跡的な事は、リアルじゃ起きなかった。
暫く泣いたよ、柄にも無くね。
でも、優斗のお母さんから貰った手紙、遺書を見せて貰ったの。
たった2文。ぶっきらぼうに
『お前に高校卒業したら桜の樹の前で、指輪渡したかった。
そしたら、その時の桜は、きっとどんな時よりも綺麗だろうな』
コレが、全部の始まり。
私は、卒業の時に、何よりも綺麗な桜を咲かせるの。
ソレが、優斗が最後に私に望んだ事だと思ったから。
(故人)小野 優斗
(元)桜の恋人
持病の影響により、高校1年冬に死亡。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!