第15話

14話
243
2023/05/10 00:01
ズルズルズル、、

耳元からそんな不吉な音がする。
何だろう、何か意識が朦朧としてる、、、、
桜
ありゃ、未だ生きてたの?しぶといなー、、
蒼葉
蒼葉
さ、、くら、、先ぱ、、、?
桜
そそ、君の大好きな桜先輩だよ〜
そう明るい声で言っているが、それとは反対に僕の調子は最悪だ。
頭がガンガンして、腹の部分が痛い。それに、目の端に何か赤いものが映って、、アレ?





あの、赤いの、、、、血?

と言うか今僕、どんな体制なんだ?
視界が上下逆転してて、桜先輩の顔が上にある、、、背中が痛い、、引き摺られてるのか?


そんな風に、ポーっと考えていたら、不意に桜先輩が口をひらいた。
桜
さて、答え合わせだよ蒼葉君
蒼葉
蒼葉
こたえ、、、あわせ?
桜
うん、さっき言った事、覚えてるよね?
それの意味の答え合わせだよ!
さっき言った事。恐らく、
『“私の事が好きな君“が、大好きだよ、、、、♡』だろう。

それを言われて直ぐに意識がシャットダウンしていたから、確かにどう言う意味か分からない。
桜
私はねぇ、君達が好きだよ。それは間違いじゃ無い。
君"達"?
桜
でも、さ、、、
好き、て言葉は人以外にも使える
桜
私はね、、酷い言い方をすると、
あの桜の樹の"養分"として、君達が好きだった。
あぁ、、そっか、、、大体、意味が分かった。
だから、それ以上聞きたく無い。
耳を塞ぎたい、静止の声を掛けたい。
でも既にボロボロな状態じゃ、そのどれも叶わなかった。

先輩は、無慈悲にも言葉を紡ぐ。
桜
私が愛していたのは、、優斗。彼だけ。
好きだったのは、、、、君達。
いつの間にか、僕は引き摺られていなかった。
先輩は少し離れた所で、僕に、嫌、今まで殺した養分達に向けて声を掛けていた。

シャベルを片手に。
桜
悪い、、とは思ってる。
でも、それ以上に、、私は優斗の願いを優先した。
声のトーンが落ちる。
嘲笑を含めながら、更に続ける。
桜
狂ってるよねッ、、君も言った、、
もうこの世に居ないたった1人の為に、、
こんなになるなんて、、、ッ
泣いている。
先までとは違う。
後悔を含んだ泣き方。

あぁ、その涙を僕が拭えたら良いのに。
生憎手を伸ばす事は愚か、指先も動かせない。
桜
でも、、、いや、だからこそ、、
先輩が、また僕を引きずり始める。
地面の匂い、、土?と言う事は、、外、、

僕の視界に、大きな樹が映った。

桜の樹だ。
桜
此処で、辞めれない。
呪いだよ、優斗が私に残した。
ドサッ

何処かに落とされた感覚。

目には桜先輩を下から眺めたアングルが。

土の中に、落とされた。

最初と同じだ。

あの時は、僕が埋める側だった。

今は、僕が埋められる。
桜
蒼葉君、、、ごめんね、、、
桜
ーーーーーーー、、、ッ!
蒼葉
蒼葉
ぁ、、、、
桜先輩が最後に何かを言い終わった途端、
僕の体に土がかけられた。

僕の視界には美しく泣く、天使の微笑みが残った。






 



程なくして、失血死か生き埋めが原因だか分からないが、
僕はたった15年の人生に幕を閉じ、美しい桜と同化する事となったのだった。

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