第31話

#31
250
2023/01/12 22:36
【あなたの下の名前said】
30日目

モトキ
今日と、明日だね。
朝起きたのに

ぼうっとして立ち上がれなくて

ベッドに座ったままの私にモトキさんが言った



手にはマグカップに入れたコーヒー

モトキ
朝のコーヒー。
あなた
…。
モトキ
いる?
あなた
…ほしい。
モトキ
ん。
またキッチンに消えていく

モトキ
まあペットボトルから注ぐだけだから簡単なんだけどね。
モトキ
クリスマスの時に届いたりょうのコーヒーだから。
私のマグカップに入れて来てくれた




ほい、と渡されたマグカップ


もう数日後にはこの部屋に無いマグカップ



ベッドに腰をおろしたモトキさんが

ふーふーとコーヒーを冷ましている




その度に息が当たって揺れる、彼の伸びてきた横髪



あなた
コーヒー髪につくよ。
モトキ
ん?あぁ。
髪をかきあげて耳にかけてる

でも毛量多いから直ぐに落ちてきている


あなた
結べばいいのに。
モトキ
結んだら後ろは結べるけど横の髪が微妙なんだよ。
あなた
工夫すればできるよ。
自分の髪ゴムを持ってきてまだふーふーしているモトキさんの髪の毛をさわった


上半分むすんでハーフアップにしてあげる

あなた
ん。これであんまり落ちてこないでしょ。
あなた
応急処置。
モトキ
お、すごい。
あなた
オシャレを気にするなら後れ毛出せばいいのよ。触覚みたいにここ出しとくとか。
あなた
ちょっとくせっ毛なんだから上手く巻いてる感じになってるし。
ちょこっと髪の毛を引き出してみるといい感じ
モトキ
おー。
モトキ
自分で引き出したら全部出るんだよね。
あなた
こういうふわっとした髪型似合う。
モトキ
そう?そんな素直に褒められるとなんかくすぐったいわw
んふっと笑ったモトキさんを

ぎゅっと抱きしめた
モトキ
ん?
あなた
髪しばったんだからお礼としてちょっと我慢して。
モトキ
…w
小さく笑ったあとにひとくちコーヒーを飲んだのが分かった


モトキ
まあ…ちょっとだけね。
そういうモトキさんの表情が

1か月前よりずっとほぐれている






私は

惜しいところまで行っていたんだろうか





モトキさんの優しい温もりを感じながら考えていた

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