~未恋side~
祐基くんと付き合い始めたのは、中学2年生の頃だった。
私は、祐基くんのことが好きで、告白をしたら、始めは振られてしまった。
でも、数週間経ち、OKを貰えた。
彼は、純粋で、優しくて、ほとんど何の苦も味わうことはなかった。
しかし、時々、私が話しかけても上の空で、心ここにあらずのような状態の時が、度々あった。
そんな時は、いつも「あの子」のことを考えていたのだろう。
私は、辛くならないように、寂しさを必死に堪えた。
しかし、高校受験が近付いて来た、3年生の11月頃、祐基くんから、別れを告げられた。
その時、彼が言ったことは、「勉強に専念したいから」だった。
でも、本当は違っていたはず。
彼は、「あの子」のことが忘れられなかったのだろう。
そして、転校して再会した時も、それは変わっていなかった。
私は、祐基くんのことが好きだけど、祐基くんは…「あの子」のことが…水城さんのことが好きなんだね。
でも、私は…
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。