私と莉央は、話しながら、歩いて行った。
…やっぱり私、避けちゃってる。
仲直りしたはずなのに、なぜか距離は遠くなるばかり。
未恋ちゃんのこと、ライバルだと思いたくないし…
放課後、一人で家に帰っている時も、莉央に言われた言葉が忘れられないでいた。
考えたこともなかった。
確かに私は好きになってよかったのか分からない。
でも、1回好きになったのに、その気持ちは変えられない。
本当に、諦められる?
後ろに振り向くと、そこには晃一がいた。
今は、一人で考えたい。
晃一の優しさは…今は辛くなる。
晃一が指差したのは、小さな公園だった。
晃一は、自販機で買ったココアを私に差し出した。
私は、かじかんだ手で、フタを開けた。
そして、少し口に入れた。
晃一もココアを一口飲んだ。
…今なら言えるかも。
晃一が冗談っぽく笑った。
…私は、どっちを選べばいい?
祐基か…それとも晃一か…
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!