ー莉央sideー
「俺、あなたのこと好きやから」
……やっぱりね。
私は、あんたと…晃一とは結ばれない運命なんだ…
晃一が力なく笑った。
私は…どうすればいいの?
休み時間、祐基くんとあなたが話しているのを横目で見ていた。
あなた、なんであんなにいい奴を選ばないんだよ。
そんな怒りも込み上げてくるくらい、あなたのことが羨ましい。
あれから、晃一を見るといつも、悲しそうな悔しそうな表情で、あなたのことを見ていた。
私は、晃一にあんな悲しそうな顔をさせたくない。
でも、私じゃ晃一を変えることなんて出来ない。
声がした方を見ると…
…拓哉くん…?
そうだ。私は、晃一のことが好きなんだから…私が救わないと!
私は、晃一のところへ向かった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!