私には、小学校3年生の時まで隣の家に住んでいた、幼馴染みがいる。
その時の彼は、ぶっきらぼうで、意地悪だった。
私が「一緒に学校行こ!」って言ったら、「しょうがねぇな」って言いながら、一緒に行ってくれた。
でも、途中で友達に会うと、私をそっちのけで先に行ってしまった。
一緒に行くことも迷惑だったのかもしれない。
親同士が仲が良く、バーベキューを一緒にしたりすることも多々あった。
その時に、彼がいつも決まってすることがあった。
それは、私がお皿に入れた、お肉を食べること。
私はいつも、お肉は全く食べられなかった。
お母さん達も、ほとんど見ていなくて、たまに見ていた時も、「仲良しねぇ~」で片付けられた。
でも、そんなことをされていても、
私は、彼のことが好きだった。
もちろん、今はどうとも思ってない。
でも、彼が引っ越す日、「もうからかわれなくなるんだ」と思い、寂しくなった。
彼は、「次に帰って来た時には、またからかってやるよ」と、笑顔で言った。
私は、嬉しかった。
でもまさか、また帰って来るなんて思っていなかった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!