突然話しかけてきた男は、「加賀美」と名乗った。
時々この施設に寄付されるおもちゃはこの人の会社で作られたものだったらしい。
でも.....
その時の加賀美さんは貴重な子供からの意見に目を輝かせていた。
その日から、加賀美さんはよく私に会いに来るようになった。
おもちゃの意見を聞くのはもちろん、一緒に遊んでくれたりもした。
加賀美さんと話していると、心が満たされていくような気がした。
加賀美さんと初めて会った日からずっと思っていたことが、
心からこぼれてしまった瞬間だった。
それから私が加賀美さんの養子になるまで、時間はかからなかった。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。