智くん、Happybirthday!!!
智=あなた
お好きな年齢で
どうぞ
智side
俺の誕生日
無理を言ってオフ日にしてもらった今日
自分へのご褒美としてソロキャンプに来ていた
他のキャンパーは何人かいるものの、話しかけてくる人はいない
気づいているとしても、プライベートだから気を使ってくれているのだろう
俺は少し離れたところに準備を始める
みんなに感謝しながら呑気に火を起こすための木を拾いに出かけた
好みの木が沢山集まって満足する
不意に山奥で物音がして
俺はゆっくり振り返った
そこには女性がたっていて
崖に身を乗り出している
このままでは落ちてしまいそうで
お気に入りの木を全部落として
俺は全速力で走る
驚く女性の手を握りしめる
そして勢い余って抱きしめてしまった
俺より少し身長の低い彼女は驚いた声を出す
身体中に響いたその声に手を離すと、彼女は俺の顔を見る
俺はとんでもないことをしてしまったらしい
目を大きくさせた彼女に精一杯の謝罪をすると
早歩きで木を落とした場所に戻った
日が沈み、だいぶ暗くなってきた頃
俺は火を起こしながら色んなことを考える
嵐のこと
これからのこと
絵のこと
釣りのこと
そして、彼女のこと
脳に張り付いたあの目と声が忘れられなくて
きらきらひかる火を見つめながらもう一度ため息をついた
突然声をかけられて声が裏返る
ゆっくり顔を上げると
先程の彼女が立っていた
意味ありげに笑う彼女
俺は戸惑いながら、散らかっていた荷物をまとめる
そっと俺の隣に座る彼女
ふんわり甘い香りが漂う
思い切って聞いてみると、彼女は少し息を飲む
じっと見つめていると口を開いた
眉を下げて笑うあなたさん
俺は気まずくて目をそらす
強い彼女に何も言えない
パチッと火花が散って消えていく
炎を見つめながら話す彼女をもう一度見つめる
赤く潤んだ瞳がやけに美しく見えて
戸惑いながらこちらを見る彼女
俺はまっすぐ彼女の瞳を見つめる
自分っぽくないことを言ってしまって恥ずかしい
でも、その辺は演技でやり過ごせる
今はロマンチストの役だ
彼女は静かに俺の手をとる
そして、柔らかく笑った
すっかり暗くなった夜
嬉しそうに笑う彼女に唇を寄せる
少し離れた、山の奥で
2人だけの世界が開いた
ーーーーー
大野智さん、Happybirthday!!!
40歳!?嘘でしょ!?
私のお母さんぐらいの歳なのに…マジか……
全然違うやんけ(おい)
これからも応援し続けます!!!!
リクエスト、お待たせしてしまい申し訳ない😭
なるべく頑張って書きます!
ではまたっ!
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。