コーヒー入れている内に続々と人が集まって来た
気付けばもう9時近い
これがセブチ家の日常かぁ……
ぼんやり考える
育ちも考え方も何もかも違う13人が
海を越え
国境を越え
家族を置いて
ここに集まっていると思うと
感慨深いなぁ〜…
私もそんな人が1人くらい欲しかった
って、
言葉に出すのは簡単だけど
いざそんな人が現れたら
大変なんだろなぁ…
その大変を乗り越えてきた13人、か……
決して完璧ではない人達が集まって
完璧に限りなく近くなる
……これもメモっておこっと
リーダーの一声が鶴の一声のよう
色んな部屋から返事が聞こえてくる
そんな光景に思わず笑ってしまう
急に笑い始めた私に
やや引き気味のエスクプスさん
笑ってそう言うエスクプスさんに言う
昨日の出来事から約10時間
外に出るため玄関の扉に手をかける
冷たくて重い扉を
万力の力を込めて
押してみる
想像以上に冷たい空気に
鼻を刺されたような気分になる
今1歩、
踏み出せないでいる私
踏み出すのが怖いのか。
足が上手く機能しない
困った足だこと。
よし、右足を上げて、前に下ろすだけ。
大丈夫だよ私
だいじょ…
静かに振り返ると
私を何度も助けてくれた人の笑顔が
言葉遣いが凄く優しい
あぁ……
ジョシュアさんの優しい言葉、
いっつも私を助けてくれる
そうだ
私には「味方」がいるんだから
何も怖がる必要はない
大きく息を吸い込んで
足に力を込める
右足をそっと次のタイルへと運ぶ
今度は左足
また右足
5歩くらい行ったところで振り返る
ジョシュアさんの放つ言葉は
やっぱり優しかった
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!