両思い?
__違う。
何がしたいの?
__取られたくなかった
これじゃ前と一緒だね
__…わかってる。
また炎上?
__そうしないように、謝りに行く
ピンホーン
そう言ってゆっくり部屋に上がっていく。
…
…
…
…え、なんではじめさんがいるの…?
寝ぼけ目を擦りながらおきたばっかりでふらふらとした身体を思いっきり起こす。
その際で立ちくらみが起きて結局、ベッドにボスンと寝転ぶ。
はじめさんは私の肩を思いっきり掴んで顔を伺う。
その顔は泣きそうな目をしてて。
その目を見て気づいた。
__あぁ、私、こんなに大切にされてんだ。
その顔をみて、あんなに嫌いになってたはじめさんに安心しちゃって。
いつの間にか涙が頬を伝っていた。
私より年上の彼が、私に頭を下げた。
深く深く、
そしてしーんと部屋が静かになる
それを遮るようにたなっちがパンと手を叩いた。
…
私ははじめさんと顔を見合わせてこう言った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!