第37話

辛かった…よね(たなっち)
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2019/10/24 13:44
あなた

ヒック…ヒック…ぅ

私の泣き声が響く部屋。
そこに、1人の人が入ってきた。
だいちぃ
ちょっ!たなっ…
たなっち
あなた。
たなっちだ。
それを止めようとだいちさんが手を伸ばすが力が足りずズカズカと入ってきた。
あなた

…ヒック…た、なっち?

私の顔を見たたなっちは辛そうな顔を一瞬させてお兄に話し始めた。
たなっち
なすび、ちょっとだけ。あなたと話しさせて。
お兄ちゃん
…た、たなっち…今どんな状況かわかっ…
あなた

いいよ。

あなた

お兄。ちょっとだけ。ね?

見当違いの答えだったのか、お兄が私の事をジッと見る。
お兄ちゃん
…わかった
そう言ってこの部屋はたなっちと私だけになった。
たなっち
少しの間。沈黙が続く。
その間俯いていると
ポンと頭を撫でられた。
あなた

…たなっち?

たなっち
…辛かった。よね。
たなっち
ごめん、はじめさんとか、畑とかで人生狂わせちゃって。
たなっち
ちゃんと考えないとだったよね。
たなっち
あなたが頑張ってくれてるのもわかるよ。
たなっち
でも、もっと、もっと、頼ってよ。
…その言葉にまた涙が止まらなくなってしまった。
今度は苦しさではなくて、
心が暖まって溶けてしまいそうな、優しい気持ちで。
たなっち
…いつだって、凄いよ。
たなっち
俺だって、あなたみたいになってみたい。
たなっち
あなたは、あなただからいいんだよ。
あなた

…ウウ…た、なっちぃ…

私が名前を呼ぶと腕を開いて
空いたそこに思いっきり抱きついた。
あなた

うわぁぁあぁあ

あなた

あぁぁあ

たなっち
…大丈夫。大丈夫。
どんなに泣いても、たなっちは背中をさすってくれて。
そう言って宥めてくれた。

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