第6話
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~ あなた side ~
「んんぅ……」
なんとなく目が覚めて、周りを見渡してみる。
見慣れた景色。そう、自分の部屋だった。
あれ、、、何があったんだっけ……
たしか、バイト中に接客してって先輩に頼まれて……
って
「あれ!なんでうちにいるの!?」
「あ、起きた?」
部屋のドアを開けて覗き込んでいるのは私の兄、奨。
「お兄ちゃん……」
「調子どう?大丈夫そう?」
「ねえ、何があったの、、、」
あまり記憶になくて、何が起きたのかよくわからないけど、いいことじゃないよね。
「あぁあのね……あなたがバイト中にヒート起こして早退したんだよ。碧海が家まで送ってくれて……」
「えっ…」
なにやってんの……
オメガが公共の場でヒート起こすなんて
迷惑にもほどがある。
「あなた……」
「また迷惑かけちゃった……っどうしよう……」
オメガなんていいことない。
涙が溢れそうになってきて俯くと、
お兄ちゃんはぎゅっと私のことを抱きしめてきた。
「しょうがないよ…予想できなかったんだから。何も不安に思わなくていい。」
「でもっ………」
でも、なんでヒートになってしまったんだろう。
ほんの少し前に周期がきて、終わったばかりだったというのに。
「ねえ、お兄ちゃん。なんで昨日きたんだろう…
ヒート終わったところだったのに……」
「そうだね、なんできちゃったのか……」
少し周期がずれるだけなら、そこまで気にすることはないのに、連続できたことがよくわからない。
「あなたさ、ヒートきたときの感覚覚えてる?」
「ヒートがきたときの感覚??」
「うん。」
覚えてる感覚といえば……
脳が痺れるように感じた。びりっと一瞬だけ。
その後に、、、
わからなくなった。でも、どこかで目の前の人のことが欲しいと思っていたように感じる。
覚えてる限りの感覚を話すと、
お兄ちゃんは少しだけ考え込んでまた話し始めた。
「たぶんね、それは運命の番だよ。」
「え?」
「なかなか見つかることないって言われてて珍しいけど、あなたは会ってしまったのかもしれない…」
運命の番に。