放課後。
北人
あなたちゃん、無理してるでしょ。
帰る支度をしていた時、部活中のはずである北人から声をかけられた。
あなた
な、何を?
北人
今日の朝のこと、樹とまこっちゃんと3人で見てた。少し・・・話さない?
あなた
部活は?後輩くんたちに教えなくていいの?
北人
抜けてきた。まぁ、本来なら引退してるし大丈夫。
2人で屋上に行く。グラウンドでは野球やらサッカー部やらのかけ声が聞こえてくる。
北人
頑張ってたじゃん。
あなた
私のやり方、間違えたかも。
北人
何で?
あなた
まだ何も壱馬の気持ち聞いてないのに怒っちゃったから・・・
北人
あなたちゃんさ、今日ずっと無理してたでしょ?
あなた
えっ・・・
北人
授業中、後ろ向いた時に涙堪えてたし。ほら、今も本当は泣きたいんでしょ?
北人の言う通り。ずっと堪えてた。
こんなことで泣いちゃダメ!って自分に言い聞かせていた。
北人
今は、強がらないで。泣きたかったら泣いていいんだよ。
北人の包み込むような優しい声で今まで溜まっていた涙がボロボロとこぼれ落ちる。
そんな私を無言で抱きしめてくれる。
北人
分からないのが1番の不安だよね。
あなた
壱馬が大好きだから・・・。嫌われたくない。
北人
俺からも何か言おうか?
あなた
私からもう一度落ち着いて話して理由を聞きたい。
北人
うん、それが1番壱馬も気がいいかも。
でも、距離置いてって言われてるし明日話す?
あなた
どうしよう・・・。あんまりしつこく聞く逆にそれがウザがられたり。
北人
難しいね。
あなた
結構大事な事だから電話は避けたいから明日、昼休みとか放課後に声かけてみる。
北人
頑張って。応援してる。
あなた
今日はありがとね。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。