2週間後
今日は次の企画の会議に参加させてもらった。
いつもはふくらさんと伊沢さんでやることが多いらしい。
時計を見ると6時だった。
パソコンの電源を入れて椅子に座る。
伊沢さんは向かいのライターさんの席に座った。
スマホを見ているみたいなので気にしないで仕事を進めた。
けど、いつも見えない席にいる伊沢さんが視界に入ってくるとどうしても集中できない。
あと少しで書き終わる記事だから早く終わらせたい。
お願いだから集中させてくれ伊沢拓司!!()
カッコいいからに決まってんじゃねえかぁぁぁああああ!!!!
私がファンだってこと知ってるだろぉぉおおおお!!!!
もしやこいつ確信犯だなこのやろう。
たまにSスイッチが入った伊沢さんほどめんどくさい者はいない。
くっそう(屈葬)、Sもかっこいいじゃねえか!()
いつも負けてるの悔しいから今回は負かしてやりたい。
ほらニヤニヤしてきた。
私が答えられないって分かっててやってる。
今回ばかりは負けたくない気持ちが大きいので言い返します。
これで顔真っ赤にでもしてくれたらいいのにな、なんて馬鹿なことを考える。
そんなこと考えるなんて身の程知らずだな。
伊沢さんはたくさんの人にカッコいいって言われてきてるだろうし、
「大切なメンバー」としか思っていない私から言われたことなんて……………。
あれ、声が聞こえない?
そう思って前を向いた。
耳まで赤くなってますよこのお兄さん事件だよやばいよ。
顔を真っ赤にした伊沢さんが目を逸らして手の甲で口元を隠してる。
いやカッコよすぎだし死亡案件だし。
なんか急に自分の言ったことが恥ずかしくなってきて、
伊沢さんの顔見ていたらさらに恥ずかしくなってきて、
なぜだか頬が熱くなってきた。
可愛い。
伊沢さんとあなたちゃん可愛い。
あ、まだ続くからね。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!