第30話

さんじゅう
2,824
2020/04/23 10:41
you
you
とっても馬鹿なことなので笑わないでくださいね?
ふくらP
ふくらP
うん、泣くくらい思いつめちゃってたんでしょ?
you
you
……伊沢さんに好きって言っちゃいました。
ふくらP
ふくらP
え?
you
you
送ってくって言われて、行こうって手繋がれたんです。
いつも手繋ぐときにサラッと繋ぐから不安になっちゃって。
ふくらP
ふくらP
不安?
you
you
伊沢さんは女の子にそゆことするの慣れてるかもしれないのに、
私だけ馬鹿みたいにドキドキしてるのだったら嫌だなって。
なんで好きでもない相手にそゆこと出来るのかなって。
私は伊沢さんにとって「大切なメンバー」ってだけなのに……。
そんなことをグチャグチャと考えてたらポロッと出てしまって……。
ふくらP
ふくらP
……………そっか、それで逃げてきちゃったの?
you
you
自分がどれだけヤバイこと言ってるかに気づいて、
伊沢さんのこと困らせちゃってきづいたら涙出てきて……。
泣いたまま立ってるのもあれだから走って逃げちゃった………。
ふくらP
ふくらP
そっか、びっくりしたよね。
自分でも何言ってるか分からないのにね。

子供を慰める保育士のような感じでふくらさんは言った。

本当にどこまでもどこまでも優しい人だ。

you
you
伊沢さん、困ってた……………どうしよう……。
ふくらP
ふくらP
大丈夫、伊沢も突然のことにびっくりしただけだよ。
あなたちゃんの気持ち、決して嫌だったわけではないと思うよ?
you
you
でも伊沢さん、私のこと……………。
ふくらP
ふくらP
気になるなら返事を待ってみればいいじゃない。
you
you
やっ、そんなの無理です……………。
ふくらP
ふくらP
どうして?
you
you
だって、今の楽しかった関係終わらすの嫌だし……………。
返事聞くの、結果は分かっててもやっぱり怖いし。
ふくらP
ふくらP
それなら、何もなかったようにするしかないんじゃない?
you
you
できるかな。
ふくらP
ふくらP
普通に、いつもどおりだよ。
何かあれば助け舟出すから。
you
you
分かりました、ありがとうございます!
ふくらP
ふくらP
まあ、その必要もなさそうだけどね……………。(ボソッ
you
you
ん、なんか言いました?
ふくらP
ふくらP
ううん、なんでもない!
ここに布団敷いとくからお風呂入ってきて!
you
you
あ、ありがとうございます!





ふくらさんの家はお風呂までも清潔感に溢れていて、本当に男性の家とは思えなかった。

私なんてもっとゴチャゴチャなのに、と思うところがたくさんあった。

お風呂上がったあとは二人で企画なんかについて話して、それから寝た。

ふくらさんは伊沢に悪いけど仕方ないよねと言って、私が眠るまで側にいてくれた。

そのおかげでカバンに入っていた薬の存在も今日は忘れられた。

私が眠ったあとはきっと部屋に戻って寝たのだろう。





ふくらさんは本当に良い人だ。














ふくらside



ふくらP
ふくらP
……ズルい人間だね、ごめんね。

俺の哀しい声も届いていないように、君は静かな寝息をたてる。

ぐっすり眠れているようだった。

you
you
スースー……………。
ふくらP
ふくらP
これだから策士なんて呼ばれちゃうのかな?
一歩間違えれば君を騙すペテン師かな?

俺の発した言葉に、君が笑ったような気がした。

そうだねって言ってくれているみたいに。

ふくらP
ふくらP
でも、ズルい手を使ってでしか君には接することができない。
こんなペテン師で、優しい仮面被ったペテン師ごめんね。
you
you
……………ふく、ら、さ………ん……………。

窓の外にはまだ、月明かりに照らされた鬼灯が咲いていた。

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