第26話

バーノン
433
2021/08/16 06:58




始まりは突然だった。



いつもの毎日、いつもの騒がしい廊下。























スングァン
スングァン
 あっあなたじゃん! 




聞き覚えのあるその声に足を止めると、
去年同じクラスだった友達。
U
 わ、ぶーちゃん! 
スングァン
スングァン
なんか久しぶり?ㅎ




何気なく彼の隣にいる男の子に目を向けた。


その瞬間、時が止まったような気がした。



スングァン
スングァン
 あなた?どしたの?




まるで彫刻作品かのような整ったお顔。

宝石のように輝くその瞳に、


私は一瞬で落ちた。






U
  一目惚れ……
スングァン
スングァン
 ひとめ… ?! 
U
 ぶーちゃん、この人の名前知りたい 
スングァン
スングァン
 え、ハンソルのこと?




後先考えずに突っ走るのが私の悪い癖。
気がついた時には口が勝手に動いていた。



U
ハンソルくん、私と付き合ってください!




表情を崩さず、ぱちぱち と瞬きをした彼。

その隣のぶーちゃんは大パニックだけれど
今の私はそれ所じゃない。



バーノン
バーノン
あー…ごめん。
君のことよく知らないから
U
 じゃあ、お友達からでも…! 
バーノン
バーノン
 友達…  うん、よろしく
 


手を差し出しすと、その手を受け取ってくれた。



お友達としての握手。


スングァン
スングァン
 え?ちょっと待って?
追いつけないんだけど!?
U
 あ、先生に用事あるんだった 
U
 2人とも、またね!





これが、私たちの出会いだった。

こうして “お友達” から始り、
押して押して押しまくって付き合ってから半年。




ハンソラから1度も好きと聞いたことがないのが
私の最近の悩みである。








…………………………………………………………



移動教室の帰り道。



U
あっ、私ハンソラのクラス寄ってくる!
👧🏻
おっけい〜


廊下を曲がってすぐの教室に向かう途中。
曲がり角の直前で、ぶーちゃんの声が聞こえた。



へへ、びっくりさせてやろっと。



壁のすぐ側に体をくっつけ、
タイミングを見て勢いよく飛び出そうと試みた。






スングァン
スングァン
で〜?あなたと最近どうなの?


…… ん、あたし?



バーノン
バーノン
 あーまぁうん。 
スングァン
スングァン
 なにそれㅎ
バーノン
バーノン
 何て言うか… 
バーノン
バーノン
なかなか言い出せなくて困ってる
スングァン
スングァン
だとおもった。
こういうのは早く言った方がいいよ?




この会話…

「言い出せない」「早く言った方がいい」

どう聞いても別れ話の相談じゃん



バーノン
バーノン
 わかってるんだけど…
スングァン
スングァン
 ははっ  ハンソラらしいㅎㅎ



ちょっとぶーちゃん?
私の味方だと思ってたのに。


U
ねぇ、どういうこと?



またしても、勝手に体が動いていた。
やらかしたと気付いた時にはもう遅い。

えい、もうどうにでもなれ!



スングァン
スングァン
 え、あなた?!  もしかして…
U
 わ、分かってる!
私の事好きじゃないってことくらい
U
 ハンソラ優しいから私に流されて 
付き合ってくれたんでしょ、ㅎ
バーノン
バーノン
 あなた、待って 
U
 もういいよ、今までごめんね 
スングァン
スングァン
あちゃー…



一方的に喋った私はハンソラの言葉を遮って、
自分の教室まで逃げるように走り抜けた。


















バーノン
バーノン
あなた、今いい?



放課後になって、彼が私の教室に来た。



👧🏻
おっ彼氏のお迎え〜?幸せ者め!
U
あはは〜…ㅎ 


友達と別れて、ハンソラの方を向く。



バーノン
バーノン
 人が居なくなるまで待とうか 
U
う、うん 



しばらくして教室には私達だけになり
後の方の席に座って二人向かい合った。



妙に気まずい空気が私たちの間を流れる。

短い沈黙を破ったのは彼だった。




バーノン
バーノン
 まずは、今までごめん 
U
 …謝んないでよ 
バーノン
バーノン
 ずっと言おうと思ってたんだけど 
U
 ま、待って! 


やっぱりどうしてもその先を聞きたくなくて
ぎゅっと目を閉じ、両手で耳を塞いだ。


バーノン
バーノン
 ちょ、 
U
 むり!聞かない! 
バーノン
バーノン
 聞いてくれる? 
U
 や、やだ! 
バーノン
バーノン
 …… 



突然、耳元にあった両手が温もりに包まれた。

その手は握られたままハンソルの膝の上に。




恐る恐る目を開けると、
今までに見たこともないような優しい瞳で
私を見つめていた。




U
 そ、そんな優しい顔しないで 
バーノン
バーノン
 どういう意味? 
U
 これから、その…… 
ふ、振るんでしょ?
バーノン
バーノン
 振る? 
U
私の事!
U
これ、別れ話…だよね?



今度こそちゃんと聞こう、と覚悟を決めた。


しかし次に彼の口から出てきた言葉は
予想外のものだった。


バーノン
バーノン
 違うよ。むしろ逆、なんだけど 
U
 …… ? 
バーノン
バーノン
 好きです 
バーノン
バーノン
 たくさん待たせてごめん。
 

いつもの様に顔色を変えず淡々と
だけど一言ずつ丁寧に、そう言った。

U
も、もしかして
U
言えなくて困ってたのって…


照れたように視線を逸らした。

ほんの少し、耳が赤く染まっている。


U
 うそ……ほ、本当に? 
バーノン
バーノン
 嘘つかないよㅎ 
U
 うわぁ、私生きてて良かった、
バーノン
バーノン
 ふ、大袈裟ㅎㅎ 


大きな口を開けて笑う彼。


U
 ねえねえ、もう1回言って!? 
バーノン
バーノン
 また今度ね 
U
 今〜!! 









その帰り道、アイスを食べに寄ったお店。



U
 でね、友達が …って聞いてる? 
バーノン
バーノン
 …… 
U
 ハ、ハンソラ? 


じーーっと私の事を見つめている綺麗な瞳。


バーノン
バーノン
 ごめん、見惚れてた 
U
 は?! 
バーノン
バーノン
 あなたが可愛いくて 
U
はい?!



素直になったこの人は最強なわけで。
つまり心臓がいくつあっても足りないわけで…









昨日は夢にも思わなかった

今日から、また新しい私たちが始まる









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