朝の電車
沢山の人の中から
今日も、
名前も知らない 彼 を見つける。
毎朝 同じ車両にいる男子高校生。
私とは、違う制服
.
.
キーンコーンカーンコーン
放課後に1人、勉強をするため自習室へ向かう
気付けば20時近くになっていて
周りには誰も居なかった
急ぎ足で学校を出て、駅まで歩くと
ちょうどいいタイミングで電車が来た
朝とは違って人が少ない
単語帳を見ていると、
ここ数日徹夜をしているせいか
睡魔が襲ってきた
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今日も部活でくたくた。
いつも通りの電車に乗る
前言撤回。今日は特別
毎朝同じ電車の、あの子が居る。
思い切って、彼女の隣に座ってしまった
やばい。なんか緊張する。
しばらくすると、俺の肩に寄りかかってきた
混乱していると、小さな寝息が聞こえてくる
チラッと見ると、手には単語帳。
勉強… 疲れてるのかな、
何故だか、彼女をとても愛おしく感じた
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とても長く寝ていた気がする…
夢と現実の間で、微かに声が聞こえる
目を開けると、斜めに傾く視界
そして、頭の感触
慌てて離れ、顔を向ける
なんで、朝の…
近くで見ると、整った顔に惹き込まれそう
車内アナウンスが
私が降りる駅名を告げる
電車から降りた瞬間
ドアが閉まり、
手を振ってくれるミンギュ君を見送った
.
.
翌朝、いつもの電車に乗る
今日も1番に見つけた人
勇気を出して近くに行き、声を掛ける
目を丸くした彼
でもすぐに、にっこりと笑って
知り合いにはなったけど、
まだ、友達ではない。
お互いに敬語とタメ口が混ざって、
くすぐったいような、変な感じㅎ
🚃 次は○○駅〜○○駅〜
ミンギュ君のほうが遥かに背は高いはずなのに
捨てられた仔犬のような目線を感じる
心臓が 、音を立てる
そう言うと、しっぽが見えそうなくらい
無邪気に笑う彼
“ じゃあ、あとで ”
いつも通りの朝。
でも、確実に、
いつもと違う朝。
名前を知ったばかりの彼に、次は何を聞こう。
🐶
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。