第21話

ウジ
777
2021/02/20 05:17



3時間目の授業。
太陽が真上に昇る時間帯



私の隣の席は、空っぽ。

さっきまで居たはずなのに





先生
おーい、イジフン。また居ない…
先生
学級委員長、知らないか?
U
知りません







クラスメートのイ・ジフン君


クラスの中心的な集団の輪の中で、
彼はいつも静かに笑っている。




しかし、気付くといつの間にか姿を消していて

そんな彼の居場所を、誰も知らない。



つまり、ミステリアス。謎多き人。








👧🏻
あなた〜移動教室行こう!
U
ノートが見当たらない…
ごめん、先に行ってて!
👧🏻
珍しいㅎ  先行ってるね?






やっと見つけた時には、授業開始まで5分
急がなくちゃ。





別の棟にある特別教室へ向かう移動中、
ジフン君を見つけた。



あまり人の通らない廊下

どこへ行くんだろう…
と思ったら、非常階段を上って行った。




誰も知らない、彼の居場所…
興味が湧いた。







U
ここ…入っていいの…?



もちろん、ダメ。
立ち入り禁止のロープが張ってある。



しかし彼は、躊躇なくひょいっと越えて行った。



気になる。この線の先。

これは、学級委員長として…捜査のため…!





私はその線を、越えた。







階段を上りきった先には鉄の大きな扉が1つ。



ジフン君が居るであろう場所
そこは、屋上だった。











ウジ
ウジ
あれ、サボり?




扉を開ける錆びた音に気付き、振り返った。
彼は少し遠くの手すりに腕をかけて立っていた。



私は、扉の近くで立ったまま会話をする





U
いや、ジフン君が見えたから…
ウジ
ウジ
尾行?
U
ち、ちがうよ…!
ウジ
ウジ
ㅎㅎ
ウジ
ウジ
まぁそれでも良いんだけど
U
ちがうってば…
U
あっそうだ、授業出て下さい





彼は少し微笑んで顔を前に戻した。

って、私の話は無視ですか…







ウジ
ウジ
こっち、来れば?
U
授業…始まっちゃう
ウジ
ウジ
いいじゃんそんなの
U
そんなのって…
U
わあっ




時間を確認していると、
いつの間に目の前に来た彼に手を引かれた。







ウジ
ウジ
いいから、





遠くで、授業開始のチャイムが聴こえた。


でもそんなの関係ないと思ってしまうほどに



U
すごい…





美しい景色が広がっていた








ウジ
ウジ
でしょ。
U
…うん




私たちの町が小さくなって、遠くには海も見える。
青い空には高く昇った穏やかな太陽。








ウジ
ウジ
委員長、授業出なくていーの?
U
今は…そう呼ばないで
ウジ
ウジ
じゃあ、あんた
U
…それも嫌
ウジ
ウジ
……あなた





隣に居るジフン君とは、肩が触れる距離。




U
私の名前知ってたんだㅎ
ウジ
ウジ
そりゃあ
U
人に興味無いかと思ってた
ウジ
ウジ
興味無いよ
U
じゃあなんで?
ウジ
ウジ
…それは秘密





冬と春の間。

まだ少し冷たい風が
私たちの間を通り抜けた。










U
ここ、良い場所だね
ウジ
ウジ
…来れば
U
ん?
ウジ
ウジ
また、来ればいいじゃん
U
…うんㅎ
ウジ
ウジ
あ、皆には
U
分かってる
U
秘密でしょ?ㅎ
ウジ
ウジ
ん。







にっこりと満面の笑みを見せる彼。

その初めての笑顔に、釘付けになってしまった。





どうやら私も
彼の秘密の一部になってしまったらしい。













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U
私…体調悪いから保健室行くね。
👧🏻
分かった、先生に伝えとくよ!











そうして今日も、屋上への階段を駆け上がる。












ウジ
ウジ
あなた、またサボりだ
U
…ジフナのせい








越えた線の先には、秘密の場所。










🍚




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