満開の桜が、今年も綺麗に咲いた。
その美しい景色の中にいた人
あの時の笑顔が今でも、心に焼き付いている。
“ また、来年も _______ ”
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今日も私はその名前を呼ぶ
大きな声で、元気に明るく。
彼が太陽みたいな人だから
それに見合うようになりたくて
優しく目を細めて笑う彼は、
1つ年上の高校三年生。
知ってます。
ソクミン先輩が桜の花が一番好きって。
校門から校舎へ続く長い桜並木
花が散ってすっかり緑になった道を二人で歩く
私はあの日のことを思い出していた。
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あれは1年前の春の日。
記念すべき高校生の初日。
私は見事、迷子になっていた
後ろから声を掛けられ、振り向いてみると
私と同じ制服の、背が高くて優しそうな人。
私に向けた笑顔がとても眩しかった
しばらく、二人で歩いた。
先輩の顔を見ると、何かを企んでいるような顔。
言われるがまま、ギュッと目を閉じた。
両肩を持たれ、道案内をしてくれる。
恐る恐る目を開けると、
見渡す限りにピンク色の世界が広がっていた。
そう言って、ひらひらと舞い落ちる花びらを
愛おしそうに眺める彼の横顔に釘付けになった。
人生で初めての一目惚れだった。
その日から私は、生まれ変わると決意した。
メガネをコンタクトに替えて、
今まで興味のなかったメイクも髪も研究を重ねた。
あ、もちろん校則の範囲内で
そうして1ヶ月が経った。
名前も知らない彼をどう探そう
そう思っていた矢先に委員会の顔合わせで
再び出会った。
きっと、彼は気づいてないけど。
でもそれはそれで都合がいい、そう思うことにした。
あの時とは違う私として、もう一度出会った。
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そんな昔のことを回想していると、
ふと隣から視線を感じた。
眉毛を下げて、残念そうにくしゃっと笑った。
ん……?なんて?
もしかして…
すると パァッ と顔を輝かせた彼
「当たり前でしょ?」 と、
逆に不思議そうな顔をされてしまった。
春の太陽のような、明るくて優しい笑顔
その笑顔に胸を締め付けられる。
あの日の先輩が言っていた言葉。
横を見ると、少し驚いたような顔をしていた
先輩は今年で卒業。
私達に来年もあると言ってくれて嬉しかった。
散っても散っても、美しく咲く桜のように
何度でもあの日を思い出そう
その笑顔と共に。
🐴
ぽこです!お久しぶりです🌸
実は今回のお話、以前にリクエスト(仮)にて
案をいただいた 「年上ドギョムさん」 でした!
本当に遅くなりすぎました申し訳ないです… (--;)
読んでいてくれたら嬉しいです🥺
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。