クッと力を入れた眉に、キュッと結んだ唇
おまけに、少しだけ膨らむ鼻
これは彼がおふざけをする時の顔
もう何度目かも分からないこのやりとり。
いや、元気だな。
歳は1つしか変わらないはずなのに
なんと言うか、、若い。
そう。
ここ数ヶ月、告白をされる日々
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朝
休み時間
昼休み
下校
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こんな感じで、会う度にアプローチの嵐
もちろん、丁重にお断りしている。
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午後の授業も終わり、下校の時間
実は、さっきの授業中からお腹が痛い
友達には心配かけたくないから、
1人で帰れて良かった。
私の返事も聞かずに歩き出してしまった
ドギョマの今日あった話を聞きながら歩く
気付かないフリしてたけど、
やばい。本格的に痛いかも…
いつも通りの私を装った
大丈夫、このくらい。
小さい頃から我慢には慣れてるでしょ?
自分に言い聞かせる。
立ち止まった。
なんで、分かっちゃうんだろう
私の顔を大きな両手で包んで、
覗き込んでくる
自分でも驚いた
たぶん人生で初めて、人前で泣いた
そう言うと、私に背を向けてしゃがみ込んだ
さすがに恥ずかしい…
ドギョマに体を預けた
大きな背中は、暖かくて、心地いい
弟みたい、って思ってたけど
全然違う
コンビニに着くと、私をイートインの椅子に座らせ、薬と水を買って飲ませてくれた。
立ち上がったドギョマは、
椅子に置いていた私のリュックを抱えた
そしていつのまに出したのか、
自分のパーカーを私に着せてきた
あった 、 包容力。
もうどっちが年上だか分からない
手を繋ぎながらゆっくりと歩く
ちょうど、車が通った
明日、いつもの告白に
“ はい ”
って答えたら、
どんな顔を見せてくれるんだろう
目を丸めて、びっくりする?
それとも
目が無くなるくらいの笑顔で喜ぶ?
想像をしたら、思わず笑みが溢れてしまった
🐴
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!