あれは少クラの「お手紙書きましょう」のコーナーで、玉森と北山が手紙を読み合ったりしていた頃。
急速に仲良くなってく2人を藤ヶ谷は複雑な面持ちで見つめていたっけ。
俺は知っている、本当はおまえ北山の傍にいたいんだって。
けど弟でいることをやめたのは、お互いのためグループのため。
(でしょ?偉いな藤ヶ谷は俺とは全然違う)
兄貴の身代わりというトラウマに押し潰されそうになっている自分と。
それから藤ヶ谷と俺は、プライベートでも顔を合わせるようになり友達としてメンバーとして仲を深めていったんだ。
いつしか寄り添い…
・北山side
1時間後…
俺達は2人して帝劇の稽古場へと向かい、その車内で。
そう、藤ヶ谷から頼まれたことを横尾さんが教えてくれた。
(気遣ってくれたんだ、でもどうして藤ヶ谷は横尾
さんが料理を作るのが上手いって知ってたんだろ?前は苦手だとか言ってプライベートでは付き合っていなかったのによ)
すると、胸の内を分かったかの如く横尾さんが口を開く。
(そういうこと)
十代だった頃と二十代だった頃とでは考え方も受け取り方、見方も変わってくる。
だけど俺たちグループにとってはいい事で、やはりメンバーは仲良くしなくちゃ。
それから、更に5日ほど経ったある日のこと下腹部にとつぜん強烈な痛みを感じ。
俺は、腹を抱えフローリングの上をのたうち回り。
そのとき携帯の着信音が鳴り「あ、誰…?」必死で手を伸ばしディスプレイを見たら「藤…ヶ谷!?」
この間から下がらないでいる熱、なんとか解熱剤で抑え稽古を続けて来た。が、時々頭痛や吐き気もし体調不良のせいだと思うようにしてはいたけれど、この痛み尋常じゃあない。
ピンポン、ピンポン、ピンポン、けたたましくチャイムが鳴り響き続けてドンドンドンと扉を叩く音が聞こえ。
(ふ…じ‥が…や‥クッ)
必死で床を這いドアノブに手を掛け立ち上がった
次の瞬間!開けると、ふわっと倒れ込んでしまい
意識を失くしてしまう暖かな温もりに包まれながら。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。