第16話

覚醒のとき④北山side
舞台上に現れた一艘の大きな船、そして滝沢くん。

その滝沢くんに言われロープづたいに、上から下へ滑り降りる「いける、よし大丈夫だ」続けてタマも言われて下へとロープで滑り落ち千賀の台詞。

千賀
秀明、この縄はどうする?
滝沢
祥太へ渡してやれ
千賀
了解、行くぞ~


船へ飛び移る千賀、その身体を手で引き寄せる滝沢くん。それから塚ちゃん、トッツーと次々に名前が呼ばれ最後に長老とユキヒメ、藤ヶ谷が登場し物語りは進んでく「向こうにユウカリの木が沢山ある」と藤ヶ谷がユキヒメを誘い出し。

滝沢
よし、みんな船を完成させるぞ
一同
おう


天井から吊り下がる3本のロープの両脇を2人が
支え、真ん中のロープは俺が掴み、そのロープを
つたって上へ上へと昇ってく滝沢くん、この舞台
の見せ場の1つ。

手だけで身体を支え両足は宙に浮きグルグルと回る滝沢くんを下で動きに合わせ俺もまたロープを回し上と下、2人の息がピッタリ合っていなければ事故にもなりかねない危険なアクション。と、その時!

北山
ドックン!


心臓が煩いほどにドクドクと暴れだし足元が覚束
なくなって「なっ、くっ、何が…起き‥た!?」呼吸
は乱れ体内が火照り、自分で身体を支えることが
出来なくてよ、俺は膝から床へガクンと崩れ落ち
てしまったんだ。

塚田
危ない!


塚ちゃんの声で、見上げたと同時に落ちて来る滝沢くんの姿が見え反射的に両腕を広げその身体を自分の手で受け止め。

ファン
きゃあぁーっ
.
タッキーっ
ファン
キタミツうぅ


響き渡る客席からの悲鳴を帯びた叫び声、走馬灯のごとく次から次へ沢山の風景や顔、いろんな出来事が浮かんでは消え。

.
おめでとうございます元気な男のお子さんですよ


そう俺は神奈川県相模原市に住む両親のもとで生まれた親が揃って教師ってだけで至って普通の家庭、名前は「広く光りを与える人になるように」という意味、とにかく幼稚園・小学生と習い事を多くさせられたっけ。お陰で、常に向上心を忘れない人間になった…つもり?

ちょっといい?


あれは中学2年のとき、母さんに呼ばれて。

北山
離婚?父さんと
そう、宏光は母さんについて来て
くれるわよね?


「もちろん着いて行くよ」そう答えた母さんを独りにはできないから、それと平行するかのように行われたのが第二次性徴期検査だったっけ。

スタッフ
早く早く幕を下ろせ
裏方
あ、はい
アナウンス
お客様に申し上げます只今アクシデントが発生しました詳細が分かるまで今暫くお待ち下さい


小学生のとき先生にこう説明された、中学に入ると血を取って自分がなんの性質なのかを調べる検査があると。

性質とは、男とか女とは別に3つの属性が人間にはあり、それは凄く大事なことで将来を左右することにもなりかねない。

でも、αやΩと診断される人は僅か数%でしかなく。

先生
そう言う先生もβだ、心配しなくても大丈夫だから、なんだったら家に帰り両親に聞いてみなさい


俺は、そのまんま父さんと母さんに「父さんと母さんは何かって?」「βよ安心した」

(なーんだ気にする必要なんてないか)

子供って単純だから、あまり深く物事を考えたりはしないもの当時の俺もそうだった。だから、ずっと忘れていたんだ。この時の事を…

大人になり、とんでもない事が待ち受けているだなんて思いもせず。

滝沢
北山、大丈夫か!?


うっすらと目を開けたら滝沢くんの心配そうに覗き込む顔があり。

(ふっ…良かった‥無事…で‥)

スタッフ
滝沢くん!
滝沢
俺は大丈夫です、それより北山が
スタッフ
‥‥っ
千賀
きた…えっ、えぇ~っ、嘘!?


そこで意識が途絶える、周囲から聞こえた様々な声を耳にしつつ。