第25話

広がる波紋③玉森side→藤ヶ谷side
2010年4月11日、仙台セキスイハイムスーパーアリーナ、去年はイズミティが会場で千賀はインフにかかって行けなくなり6人で行ったコンサートが記憶に残る。

(まっ、そのあとサンプラザホールに7人で来れたんだけどね)

千賀
せっかく仙台まで来たのに1回かぁ
宮田
確か、よさこい祭りがやってた
んだよね去年
北山
ホテルの窓から、いっぱい人が
見えてよ
二階堂
なになに、あれって
藤ヶ谷
知らなかったからビックリしたなぁ
玉森
そうそ
横尾
どんどん人が集まって来て
ほんと凄かった
千賀
それ俺が行けなかった時のやつでしょ
宮田
あっ、ゴメン、がっちゃん


これも1つの思い出、初めて行った自分たちのコンサートツアーは毎日が楽しく。

二階堂
泊まりじゃないと部屋割りジャンケンができないじゃん
藤ヶ谷
お前、何を楽しみで来ているわけ?
一同
あはははっ


先輩のコンサートに着いて行くのとは違う「なんていうの?自由な感覚」俺達は行くとこ行くところでハシャギまくっていて、でも今年はなんだか様子が違う。

横尾
北山、疲れていない?
北山
ん?大丈夫
横尾
そう無理しないでよ
北山
分かっているって横尾さん
藤ヶ谷
‥‥‥


常に傍にいてミツを気遣うワッター、その様子を
遠目で気にしているタイピーの姿。

そしてニカも…

二階堂
宏光うぅ~ジュース買って来たよぉ
北山
Thank You、ニカ


千賀は、さりげなくタイピーの傍にいて時々話しかけているし。てかニカと千賀が別行動していること事態が不自然で、かくいう俺の隣も。

宮田
タ~マあぁ


(あっ、こいつはいつも傍にいたっけ)

宮田
ねぇタマ、俺タマのことが大好き
玉森
なにイキなり言っているんだか


(つうか今更そんなこと言わなくても知っているし散々聞かされて来たから)

宮田
何度でも言うよタマには俺がいる
俺がいるからね


宮田の言葉が、独りじゃないよと伝えてくる。

玉森
バカ、しつこい
宮田
えへへっ


(ありがとう、ちゃんと分かっているから、お前の
気持ち)

いつか「その想いに応えたい」そう思っていたのに自分の意思とは関係なしに身体は勝手に反応し。

「どうして?なんでだよ、くっ、俺は宮田が好きなんだ宮田が」心は叫び悲鳴を上げるキリキリと胸を締めつけ。

(ねぇミツ、教えてどうしたらいいの?ミツ…)







・藤ヶ谷side
北山
んっ?どうかしたタマ
玉森
ミツ、いい匂いがするね
北山
はっ?


その言葉を聞いた瞬間に、俺の背中が凍りついた「まさかタマはβのはず!?なのにどうして?」試しに事情を知っているニカと横尾に聞くと。

横尾
匂い?
二階堂
していないよ、なぁ~渉
横尾
うん


そう口を揃えて言う2人「だよなタマだけが匂う、な~んてことある?」疑問が疑問を呼ぶ、そのままコンサートツアーが始まって今は仙台でリハの真っ最中。

横尾
藤ヶ谷、そろそろじゃない?


横尾が俺に、耳打ちし「そうだね」

横尾
高林先生は不定期って言ってた
けど最初の発情から既に2ヶ月
半は過ぎている


(確かに、いつ来てもおかしくないと思っていた方がよさそうだな)

横尾
俺が傍にいるから藤ヶ谷は
なるべく離れていて
藤ヶ谷
分かった頼むねワッター


革命のときの二の舞だけは避けたい本当は傍にいたいけど気持ちをグッと抑え「去年は良かったなぁ」なんて思いつつ花道を互いにふざけ合い追い駆けっこをして、どちらかが止めたら引いて行く。

そんな遊び方を2人してコンサート中にしていたっけファンの子たちからキャアキャア歓声を浴びるのが楽しく「しかし、なんであんなに騒いでいたんだろ?まっ、いっか」

「相変わらず鈍いなぁ~」そんな横尾の声が聞こえた気がする。

スタッフ
少し休憩に入りまーす


スタッフの言葉に皆、それぞれが思い思いの場所へと散らばって行き。

二階堂
ミツ、眠かったら向こうにソファーが置いてあったよ
北山
んだか


ちょっと怠そうな北山、マジで来たのかもしれない「出来ればコンサートが終わるまで待っていて欲しかったんだけど」そう願いつつ後ろ姿を見送った。

千賀
横尾さん、ちょっといい
横尾
んっ?
千賀
ここの振り付けなんだけどさ


横尾は千賀と仮面舞踏会の振り付けの確認中で、
宮田はというと。

宮田
タマ、なにか飲み物でも
もらって来ようか?
玉森
うん


北山はニカが一緒だから大丈夫だろう、そう俺は
安易に決め込んでいたんだ。

宮田
あれ?いない、どこへ行ったのかな
タマあぁ~


そのあと、まさかの出来事が起きるとは思いもせず「どうしているだろう北山」なんとなく気に掛かって数分後、座っていた椅子より立ち上がったその時

千賀
ニカ?どうしたんだよミツと
一緒じゃなかったのか
藤ヶ谷
‥‥っ


いきなり、ニカが俺達のところへ戻って来て。

二階堂
あ、うん、それが宏光、寝ちゃってさその間にトイレへ行き戻ったらタマがいてよ
藤ヶ谷
なっ、玉森!?
宮田
な~んだキタミツのところへ行ってたんだ、いないから心配しちゃった
藤ヶ谷
どういうことニカ!
千賀
ガヤさん!?どうしたの大きな声で


とつぜん大声を出した俺に、そこにいたメンバー
全員の視線がこっちの方を向く。

二階堂
どっ、どういう事って太輔
タマだよ大丈夫だって
千賀
んっ?
横尾
なんか気になる事でもある?藤ヶ谷
藤ヶ谷
匂い
宮田
えっ
藤ヶ谷
匂いがするって言ったんだ
あいつ北山から

嫌な予感がし居ても立ってもいられなくなり、俺はダッとそこから走り出す、その後ろをメンバーが。

横尾
藤ヶ谷!
千賀
ガヤさん!?
二階堂
太輔
宮田
ガヤさんってば


口々に名前を呼び着いて来て辿り着いた控え室の前「頼む何も起こってないでくれ北山、玉森、くっ」
祈るような気持ちで中を覗いた次の瞬間、目の中に飛び込んで来た光景は。

藤ヶ谷
お前、なにをやっているんだよ!玉森
玉森
たっ、たい…ぴ‥


北山の上へ覆い被さっている玉森の姿、その唇は
明らかに首筋へと近づけている。

玉森
俺は…ただ‥ミツから…甘い匂いが
したから‥つい
藤ヶ谷
ついってなに、ついって!
玉森
‥‥っ
横尾
藤ヶ谷、落ち着け
二階堂
そうだって、そんな大きな声を出したら宏光が目を覚ましてしまう
宮田
タマ、大丈夫だよ俺がいる
玉森
宮…田、くっ


怯えたように固まってしまっている玉森の傍へ急ぎ宮田が駆け寄り、その身体を強く抱きしめ。

千賀
ガヤさん、どうしちゃったんだよ?
らしくない
宮田
そうさ、いきなり怒鳴るだなんて酷いじゃんタマがなんかした?何もしていないでしょ
二階堂
事情があるんだよ宮田
千賀
ニカ?
宮田
俺らは知らない、知らないで
怒られたら堪んない


「そう…だよな、ごめん」限界かな、横尾がボソッと呟くように言葉を発する。

二階堂
渉、話すの?みんなに
横尾
じゃないと俺たち心がバラバラに
離れてしまう
藤ヶ谷
ワッター
横尾
そんなことは望んじゃいないはずだよ北山は…


その言葉がズキンと胸に突き刺さり眠っている北山の顔を見つめながら俺は小さく頷いた。

藤ヶ谷
ここじゃなんだし別の部屋へ行こう
横尾
俺、傍についてるから
藤ヶ谷
頼むね


俺達は北山のことを横尾に託し別室へと移動して、スタッフさん達には自分らで打ち合わせがしたいからと時間をもらい。

藤ヶ谷
何から話そうか


目の前で真っ直ぐに見つめる8つの瞳、嘘はつけない全てを話さなければ信頼関係がなくなってしまう

千賀
ガヤさんはαなんだよね?
藤ヶ谷
えっ


と、唐突に千賀が口火を切り逆に気づかれていた
ことに驚く。

宮田
えっ、そうなの!?
玉森
‥‥っ
千賀
滝沢くんがミツの上に落ちてしまったあの混乱の中でラットを起こした
二階堂
ラット?ラットってなに
千賀
えっ、二カ知らないの
二階堂
うん、俺が知っているのは
宏光のことだけ


俺は、話すタイミングを作ってくれた千賀に感謝しつつ自分がαであること、そしてラットとはそのαが発情してしまったときの症状を言い。それは、Ωのヒートに誘発されて起こるんだって事を4人に話して聞かせる。

とたん、見るみる千賀の顔が青ざめて行き

宮田
でも、あの場にΩなんて
玉森
匂い、ミツの
藤ヶ谷
そうだよタマ
千賀
えっ、えぇ~っ
二階堂
太輔ってαだったのか!?


(ニカ、一歩遅れている…ハハッ)

藤ヶ谷
北山は隠れΩだったんだ
玉森
なっ!?
宮田
じゃ革命のときに起きた事故って
二階堂
宏光が初めて発情し
千賀
ガヤさんは、それに誘発され
ラットを起こした
玉森
‥‥っ


(つまりタマお前がもし北山のΩとしてのフェロモンを感じとることが出来るんだとしたら)

玉森
俺、俺さ
藤ヶ谷
東京へ帰ったら高林先生のところ
へ行こう
玉森
たい…ぴ


(俺も一緒に行く、そして受け止めてやるから。お前の運命を同じαとして…)