タマの様子が変だ、キタミツの傍へ寄ろうともせず滝沢くんに言われても立ち止まったまま、そんな中がっちゃんとハッシーはガヤさんの所へ向かい。
帝国劇場の楽屋には万が一に備え体調不良を起こした人の為の医務室がある、俺は滝沢くんや二階堂たちを見送りながら隣にいるタマの手をギュッと握りしめていた。
暫くし我に返ったかのように自我を取り戻し、俺の顔を見つめ。
でも反応が鈍くイマイチ現状が掴めていない様子で、俺らの傍らではスタッフが。
今後の対応策を練っていて、再び流れたアナウンス
とたん客席はザワつき中には嗚咽や泣き声も聞こえ「ごめんなさい、心配をかけ本当にゴメン」俺は、ただ心の中で謝ることしか出来ず。
タマの異変それは俺以外は誰も気づいてはいない、いやもしかすると。
廊下でスレ違った1人の医師…
(優しい先生で良かった)
が、高林先生は何故だかタマの方へ問い掛け「何かありましたら遠慮せず私のクリニックまで来て下さい」そう言って名刺を渡し。
それからだった、タマから俺が目を離せなくなったのは。
(心配しないで、ずっと傍にいるよ世界で1番タマが大好きだから)
・北山side
俺は、遠い過去の意識の中に身を置いていた。
(そうか、ばあちゃんが隔世遺伝って言ってたもんな将也と同じだったんだ俺…)
次に目の前に広がったのは、わいわいガヤガヤ体育館に集められている自分たちの姿。
(んっ?なんだ、この光景は見覚えがある…ああっ、あの時の)
(これは夢か?でも随分とリアルな過去へでもトリップしたみたいだ)
ピッピッピッピッ、なにかの電子音が聞こえる。
(んだな、自分もそう思っていた普通でいいって)
そして検査の結果が届き…
そういえば、あのとき以降だったっけ父さんが帰って来なくなったのは。
(えっ)
それから、俺は高校生となり山下と知り合って。
(楽しかったよなぁ、夢に満ち溢れてて)
こうして俺は、うちの事務所へ入り今ここに皆と
一緒にいる。
(藤ヶ谷、なんでそんな悲痛な声で俺を呼ぶ、んっ?ここ…何処‥ここ‥は)
ピッピッピッピー
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。