第10話

再会②北山side→藤ヶ谷side
「隠れΩ」とは、生まれながらにしてΩの性質を隠し持って生まれて来た人のことを言い、表面上はβと同じなため気づかないまま成長し。それは、覚醒しなければ問題なく変わらずに生活していけるが1度Ωとして覚醒してしまえば。

高林
二度とβには戻れません


(つまり俺は、これからΩとして生きて行かなければならないってことか)

北山
事務所は?辞めなければならないの
高林
北山さん
北山
だってそうじゃんΩが芸能界で
やっていけるわけ!
高林
落ち着いて下さい
北山
アンタうちの事務所の嘱託医だろ?
このことは既に事務所へ


「終わりだ何もかも、くっ」俺は絶望感にうちひしがれ両手で頭を抱えて、うずくまる。

高林
北山さん顔を上げて下さい
北山
くっ…そ、なんで、なんで俺が
高林
いいですかDrは患者さんの
味方なんです
北山
はっ?


が、そんな俺に高林先生は思いもかけない事を言い

高林
私は事務所の人間ではなく
貴方の主治医なんですから
北山
俺の?
高林
そうですよ、もう2回も診て
いますからね
北山
ぁ…‥
高林
安心して下さい、この事は事務所
サイドへは伝えていません
北山
なっ、どうして?


その言葉に、ゆっくり顔を上げると先生はニッコリ微笑んで。

高林
主治医には患者さんを護る守秘義務があるんです忘れました?
北山
ぁ…あぁ‥


(やっべ涙が出そう)

高林
泣いてもいいですよ
北山
へっ
高林
んふふっ


(この先生、面白い)

北山
ぷっ、ガハハッ
高林
笑いましたね、いい笑顔です
北山
有り難うございます
高林
では本題に入りましょう
北山
はい


俺は自然と背筋を伸ばし真剣な眼差しで先生と向き合い。

高林
知っての通りΩには男性であっても
子宮がありますが北山さんの場合、
βとして生まれて来ました


(だから子宮はない)

高林
ここ最近の体調不良は北山さんの体内にΩとして必要な子宮および排卵機能などを作る為に起きているものと考えられます
北山
つまり腹痛も
高林
体内で改築工事を行っている為
それで痛むと解釈して下さい
北山
じゃ
高林
終わったとき初めての発情が来ます


(もう逃れられないってことか、くっ)

高林
大丈夫ですか?
北山
これから先、どうなるんだよ
高林
私が差し上げたサプリメントは
飲んでいますか
北山
あぁ
高林
今日はもう1つ違ったサプリメントを差し上げましょう


そう高林先生は俺に言ったフェロモンを抑える事ができるサプリメントをと、いつ発情が起きるか予測不可能だから万が一に備え飲んでおいて欲しい。

(それを飲んでいれば発情は抑えられるのか?いや…違うな、あくまでフェロモンを抑えるためのもので発情は避けられない世の中そんなに甘くはないってね)

高林
北山さん 発情は自然に起きるもの、それを薬で抑えるということはリスクを背負います
北山
けど!
高林
落ち着いて下さい
北山
くっ


先生は諭すように1つ1つ丁寧に教えてくれた薬はあるΩには抑制サプリαには抑制剤、しかし服用するにはリスクが伴う。

高林
ですから今の未完成の状態で差し上げるわけにはいかないのです


(そういうこと、なら仕方がね)

高林
お気持ちは分かります、でも一番大事なのは北山さんの身体ですから
北山
先生
高林
いいですか発情したときの症状をこれから説明します、もし起きたら


「すぐにでも私の所へ来て下さい」そう言われ診察室を出た「上手くいくのかな」ロビーで会計待ちしながら心の中で呟く。







・藤ヶ谷side
高林
それと、もう1つ


俺と横尾は、北山より先に来て高林先生の診察室の裏手にあるカーテンに隠れ2人の話を聞いていた。

高林
事務所内にいるαについてですが
北山
やっぱりいるんだ
高林
はい、しかし私の口から教える
ことは出来ません
北山
守秘義務ってやつだろ
高林
その通りです
北山
自分の身は自分で護れってか


(北山…)

高林
何かありましたら、いつでも力になります連絡を下さい


ガチャ、バタン!

北山が出て行ったあとシーンと静まり返った部屋で俺らは言葉を発する事も出来ず、ただそこにいた。

高林
何をやっているんです早く出て
来て下さい


言われてハッと気づき2人、顔を見合せ頷き合い「行こうか」「そうだね」

藤ヶ谷
すみません
高林
結果は聞いての通りです
横尾
俺達は何をしたらいいんですか?
高林
取り合えず北山さんの状態をちくいち私に報告して下さい
横尾
分かりました
高林
それと、なるべく独りにはしないよう


それは難しい、俺も横尾もプライベートではあまり北山と深く付き合ってはいない「どちらかというとタマや宮田の方が」でも彼奴らに協力を頼むわけにはいかないし。

高林
それから藤ヶ谷さん
藤ヶ谷
はい
高林
ご自分がαである事をお忘れなきよう
藤ヶ谷
分かっています
高林
1つ気になることが
横尾
なんでしょう?
高林
滝沢さんでさえ気づかなかった未発達の北山さんのフェロモンをなぜ藤ヶ谷さんが気がついたのかということ
横尾
それって、まさか
藤ヶ谷
‥‥っ


(運命の番!?)

高林
だとしたら抑制剤は効きません
注意して下さい
横尾
俺が傍にいます
藤ヶ谷
ワッター!?
横尾
俺が2人を護り抜きます


「ありが…と‥くっ」その心に、涙が出そうになる。

高林
お願いします今は貴方が頼りです
横尾
はい


運命の番、Ωの一生をも左右する存在。

(本当にそうならば俺は北山の傍にいない方がいいのかもしれない、あいつの為に)

そう悩む日がこの日より続く事となる、自分の中に潜んでいる特別な想いとは裏腹に。