第8話

隠れていた性質③藤ヶ谷side
今日は革命の稽古がお休みの日、北山がどうして
いるのかが気に掛かり。
横尾
だったら携帯に掛けてみれば
いいじゃん
藤ヶ谷
俺が?


落ち着きなくソワソワしていたら、横尾に言われてしまい。

横尾
気になっているんでしょ?ふっ


あいつのことを俺が気にするのは、この間のことがあったからだけじゃない。

横尾
変わってないね、そういうところ
藤ヶ谷
ワッター
横尾
もう少し素直になってもいいんじゃ
ないかな?


そう俺は北山が好きだ、その気持ちに気づいたのはタマにベタベタしている彼奴を見たとき「弟にしたい」それは俺だったはず 「いや、やめたのは自分」今更とやかく言う資格はない。

でも…

千賀
ガヤさ~ん、お待たせ
藤ヶ谷
おう


千賀は可愛い無条件に俺を慕ってくれている、天然で可笑しなことを言うけれど純粋で真っ直ぐに突き進んで行き「そんな、こいつを見守ってやりたい」きっと北山もそうなんだろう玉森のこと、そう思い抑えていたあの頃の嫉妬心。

その年の夏、錦織さんの演出で青山劇場で行われる「PLAYZONE」の舞台を務める事になった俺たち。

なんでも革命で俺達を見て、錦織さんが是が非でも演出してみたいと事務所に願い出てくれたんだとか、そこには滝沢くんの同期の屋良さんや内くんの姿もあり他にもJr.が大勢いてさ。

俺はその中でメインを張り内くんとは子供のころから仲が良かったという設定、だが大人になって考え方の相違から対立してく。

「難しい役どころだが、せっかく与えてもらった
チャンス生かさなくてどうする」当時の俺は燃え
に燃えていた。

宜しく頼む藤ヶ谷
藤ヶ谷
こちらこそ
北山
内いぃーっ
藤ヶ谷
えっ


そこへ、すっ飛んで来た小さな人。

よう北山、元気にしてた
北山
元気、元気いぃ~内は?
俺はいつでも元気やでぇ


いつの間にかタメ語で話すほど仲良くなっていた
2人それに驚いたと同時に、そんな北山の性格が
羨ましく思う反面ドロドロとした嫉妬心が沸いて。
その繰り返しのまま今日まで来ている。

横尾
そろそろいいんじゃない?
藤ヶ谷
えっ


横尾に言われ背中を押してもらったような形で携帯に掛けてみると。

北山
くっ、ふ…じがや‥ハァハァ
藤ヶ谷
ちょ、どうしたんだよ
北山
ぃ…た‥あぁーっ
藤ヶ谷
今すぐ行く待ってろ!


突然聞こえてきた北山の呻くような声、俺は焦った

横尾
どうかした?何かあったの北山に
藤ヶ谷
分からない、とにかく急がなくちゃ


俺達は2人してタクシーへと乗り込み北山のマンションへ向かう、ピンポンピンポン、ピンポン、しかしいくらチャイムを鳴らしても返事はなく扉を叩き

藤ヶ谷
北山、開けろ!北山


叫び続けたらガチャと開いて中から北山が倒れ込んで来てさ「なっ!?」咄嗟に腕の中へと包み込み。

横尾
なに、どういう事!?これ
藤ヶ谷
取り合えず中へ


俺達は意識を失っている北山を寝室まで連れて行くとベットへと降ろし。

横尾
凄い熱!?なにか冷やす物でも
持って来るね
藤ヶ谷
あぁ


その額には汗が滲み出ていて時折、辛そうに眉間にシワを寄せている「これは自分たちの手には負えない」そう思った俺は高林先生へ電話をし。

高林
どうしました藤ヶ谷さん
藤ヶ谷
先生、北山が凄い熱でどこか痛いらしく倒れて意識を失ってしまったんです
高林
そこ何処ですか?


北山のマンションを教えると「すぐに行きます」
そう言って、先生は電話を切り。

横尾
藤ヶ谷、今のは誰?
藤ヶ谷
はっ


いつの間にか、後ろには横尾が立っていて。

横尾
誰に掛けていたの
藤ヶ谷
あ…‥


手には、氷が入った洗面器とタオルが。

横尾
俺には言えない人?
藤ヶ谷
くっ
横尾
北山は大事なメンバーだよ何かあってからでは遅い、ちゃんと説明しな


強い口調で言われ…

横尾
藤ヶ谷、聞いてる
藤ヶ谷
…あぁ

こうなると、俺の立場は弱い。


横尾
どいて北山のオデコを冷やすんだから


入所したのは自分の方が先でも、年齢はあっちの方が上。

横尾
で、話す気になった?
藤ヶ谷
あ、うん


その上、怒るとかなり恐いときてる勘の鋭い横尾をこのまま騙し通すのは難しい。ならばと…

藤ヶ谷
俺、αなんだ
横尾
えっ


全部を話し力を貸してもらった方が今後、なにかと心強い味方になる。

横尾
αて、あのアルファ?
藤ヶ谷
そう
横尾
でも、それと北山の状態となんの
関係があるってわけ?
藤ヶ谷
実は…


俺は数日前より北山から甘い香りがするようになった事、このあいだ革命の稽古中に倒れたときは少し微熱もあり滝沢くんが。

横尾
じゃ、さっき掛けていた相手
っていうのは
藤ヶ谷
俺の主治医の先生
横尾
滝沢くんがαなのは何となく分かっていた、けれど藤ヶ谷まで!?
藤ヶ谷
高林先生の話では北山は隠れΩ
じゃないかって言うんだ
横尾
でも、もしそうだったとしたら
大変じゃん
藤ヶ谷
力を貸してくれる?
横尾
なんの
藤ヶ谷
北山を…くっ、護りたい
横尾
‥‥っ


ピンポーン、そのときチャイムが鳴りガチャっと扉を開けると。

高林
こんばんは北山さんの具合は
どんなです?
藤ヶ谷
まだ意識を取り戻していません
高林
おじゃまさせて頂きますね


高林先生が来て俺は奥の部屋へと案内し、すると
そこにいる横尾を見て。

高林
貴方は
横尾
横尾渉です同じグループの
高林
はいβの方ですね、一応把握して
いますよ


(そうなんだ)

横尾
あ、話は藤ヶ谷から聞きました
高林
では隠す必要はないって事ですか
横尾
はい俺も力になりたいんで
宜しくお願いします
高林
分かりました


(有り難う、ワッター)

やっぱり正直に話して良かった、そう思う。

高林
どれどれ…ん~確かに熱が高い
横尾
大丈夫なんでしょうか北山は?
高林
藤ヶ谷さん前にも言いましたが
熱が出るのは想定内のことです
藤ヶ谷
はい
高林
なのでサプリメントと一緒に解熱剤も出しておきました


北山は、それを飲み何とか稽古を続けていた。

高林
しかし、それが効かなくなった
とすれば
横尾
どうするんです?


と、考え込む仕草をする高林先生。

高林
取り合えず点滴を打ちます
それで様子を見ましょう
藤ヶ谷
先生
高林
それから熱が下がったら当医院へ来て欲しいのですが、ちょうど結果が出る頃ですし
藤ヶ谷
しかし、それは北山1人でっという事になっているんじゃ
横尾
そうなの?
藤ヶ谷
うん


俺達がこの事を知っていると本人は思っていない、あの日、稽古場で倒れたときはあくまで貧血で通しているし。

高林
むろん、そうして欲しいとお願いしたのは藤ヶ谷さんですから
藤ヶ谷
じゃ
横尾
なるほど気を遣って
藤ヶ谷
こいつ、なんだかんだいって
自尊心が高いから
横尾
そうだね
高林
ただ御存知そちらの事務所では


Ωだと分かった時点で、強制的に退所させられる
ことになっている。

高林
ですから北山さんの件は統括
マネージャーの方には伝えて
いません
藤ヶ谷
お心遣い有り難うございます
高林
いえ、これは滝沢さんからも頼まれていた事ですし
横尾
滝沢くんから?
高林
彼の、いや貴方がたの夢を
奪わないで欲しいと


(滝…沢くん)

高林
しかし、そうなると今後の対応
について秘密を共有する仲間が
必要となります


(それが俺たち?)

高林
やって頂けますか
横尾
当たり前です
藤ヶ谷
ワッター!?
横尾
北山は大事なメンバーですから
高林
藤ヶ谷さんは?聞くまでも
ないでしょうが
藤ヶ谷
はい、とうに気持ちは決まっています
高林
でしたら、お二人とも北山さんには
バレないよう別々に来て下さい
横尾
分かりました
高林
そのとき、これからの事について打ち合わせをしましょう


俺達は誓い合った必ず北山を護り通してみせると、そして「7人でデビューする」そう決めたんだ。

高林
では、お待ちしています


「また何かありましたら連絡を」そう言い残して、高林先生は帰って行く。

藤ヶ谷
ワッター、有り難う
横尾
なに言っているの当たり前でしょ
藤ヶ谷
ふっ


こうして俺たち2人の間に新たな絆ができ、それは北山という存在によって強く結ばれていく事になる。

希望という未来へ向けてー