今日は革命の稽古がお休みの日、北山がどうして
いるのかが気に掛かり。
落ち着きなくソワソワしていたら、横尾に言われてしまい。
あいつのことを俺が気にするのは、この間のことがあったからだけじゃない。
そう俺は北山が好きだ、その気持ちに気づいたのはタマにベタベタしている彼奴を見たとき「弟にしたい」それは俺だったはず 「いや、やめたのは自分」今更とやかく言う資格はない。
でも…
千賀は可愛い無条件に俺を慕ってくれている、天然で可笑しなことを言うけれど純粋で真っ直ぐに突き進んで行き「そんな、こいつを見守ってやりたい」きっと北山もそうなんだろう玉森のこと、そう思い抑えていたあの頃の嫉妬心。
その年の夏、錦織さんの演出で青山劇場で行われる「PLAYZONE」の舞台を務める事になった俺たち。
なんでも革命で俺達を見て、錦織さんが是が非でも演出してみたいと事務所に願い出てくれたんだとか、そこには滝沢くんの同期の屋良さんや内くんの姿もあり他にもJr.が大勢いてさ。
俺はその中でメインを張り内くんとは子供のころから仲が良かったという設定、だが大人になって考え方の相違から対立してく。
「難しい役どころだが、せっかく与えてもらった
チャンス生かさなくてどうする」当時の俺は燃え
に燃えていた。
そこへ、すっ飛んで来た小さな人。
いつの間にかタメ語で話すほど仲良くなっていた
2人それに驚いたと同時に、そんな北山の性格が
羨ましく思う反面ドロドロとした嫉妬心が沸いて。
その繰り返しのまま今日まで来ている。
横尾に言われ背中を押してもらったような形で携帯に掛けてみると。
突然聞こえてきた北山の呻くような声、俺は焦った
俺達は2人してタクシーへと乗り込み北山のマンションへ向かう、ピンポンピンポン、ピンポン、しかしいくらチャイムを鳴らしても返事はなく扉を叩き
叫び続けたらガチャと開いて中から北山が倒れ込んで来てさ「なっ!?」咄嗟に腕の中へと包み込み。
俺達は意識を失っている北山を寝室まで連れて行くとベットへと降ろし。
その額には汗が滲み出ていて時折、辛そうに眉間にシワを寄せている「これは自分たちの手には負えない」そう思った俺は高林先生へ電話をし。
北山のマンションを教えると「すぐに行きます」
そう言って、先生は電話を切り。
いつの間にか、後ろには横尾が立っていて。
手には、氷が入った洗面器とタオルが。
強い口調で言われ…
こうなると、俺の立場は弱い。
入所したのは自分の方が先でも、年齢はあっちの方が上。
その上、怒るとかなり恐いときてる勘の鋭い横尾をこのまま騙し通すのは難しい。ならばと…
全部を話し力を貸してもらった方が今後、なにかと心強い味方になる。
俺は数日前より北山から甘い香りがするようになった事、このあいだ革命の稽古中に倒れたときは少し微熱もあり滝沢くんが。
ピンポーン、そのときチャイムが鳴りガチャっと扉を開けると。
高林先生が来て俺は奥の部屋へと案内し、すると
そこにいる横尾を見て。
(そうなんだ)
(有り難う、ワッター)
やっぱり正直に話して良かった、そう思う。
北山は、それを飲み何とか稽古を続けていた。
と、考え込む仕草をする高林先生。
俺達がこの事を知っていると本人は思っていない、あの日、稽古場で倒れたときはあくまで貧血で通しているし。
Ωだと分かった時点で、強制的に退所させられる
ことになっている。
(滝…沢くん)
(それが俺たち?)
俺達は誓い合った必ず北山を護り通してみせると、そして「7人でデビューする」そう決めたんだ。
「また何かありましたら連絡を」そう言い残して、高林先生は帰って行く。
こうして俺たち2人の間に新たな絆ができ、それは北山という存在によって強く結ばれていく事になる。
希望という未来へ向けてー
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!