第13話

覚醒のとき①北山side
麻布十番にある滝沢くんのマンションは駅から商店街へ入ってすぐ1階は店頭になっていて、その上に見える滝沢くんの部屋のベランダには。

北山
ガハハハッ、あったあったバカ殿様のママチャリが
滝沢
ほら、行くぞ


志村けんが大好きな滝沢くん自転車が欲しくて買ったはいいが置場所がなくベランダに置いてあるとか、篭にはバカ殿様のお面が付き下から見てもすぐ分かる。

ファンの間でも有名で、つうか自分で喋っちゃったものだから場所がバレバレでさ、よく見に来ているらしい。

Jr.時代、仲が良かった渋谷すばるくんと商店街を
ママチャリで走り回っていたという「ここ、麻布
十番だぜ」でも、そんなお茶目な滝沢くんが俺は
好きだ。

滝沢
上がって
北山
おじゃましま~す
滝沢
適当に座ってていいよ
コーヒー飲むだろ?
北山
出来ればビールなんかを
滝沢
だ~め体調不良が何を言っているの
北山
あはっ、やっぱり


酒が強いことでも知られている滝沢くん、テキーラなんかガブ飲みするらしい。

滝沢
はい
北山
有り難うございます


そのまま向き合わせで座り、真剣な眼差しで「薬は効いている?」そう聞いてくる。

北山
へっ?
滝沢
この間、また倒れたんでしょ
北山
あぁ~藤ヶ谷のやつ


思わず舌打ちすると「2人とも心配しているんだよ」って、横尾さんも!?「そう」と優しい笑みで
微笑み。

(分かっている、分かっているって2人がいてくれて本当に助かっているし)

滝沢
俺には何でも言え北山
北山
えっ、もしかして聞いているんすか
滝沢
何を?


(なわけないか守秘義務があるし)

滝沢
北山
北山
はい


滝沢くんの眼光が、鋭く俺を見つめていた。

滝沢
護ってやるから
北山
なっ
滝沢
何がなんでもデビューさせてやる
北山
‥‥っ


その瞳の奥に、燃える炎が見えた気がする。

滝沢
お前、なに顔を赤くしているの?
北山
なってません、えっ?なってます
滝沢
くくくっ


(いつか、いつかちゃんと話しますから)

滝沢
風呂に入って寝るか?
北山
えぇ~泊まるんすかぁ


(それまで待っていて下さい)

滝沢
そのつもりで来たんじゃないの?


ぶんぶん、ぶんっと首を横に振る俺。

滝沢
俺は、そのつもりで誘ったんだけどな


(げっ、マジで!?)

滝沢
ほら脱いで
北山
うわ~ハズい、help、ヘルプミ~
滝沢
あははっ


こうして滝沢くんとの夜は更けていく優しさと、
ほんの少しのトキメキの中で。







・藤ヶ谷side
滝沢
北山、ちょっといい?
北山
なんすか?


あの日、さっそく行動に出た滝沢くんはそれからも常に北山の傍にいて。

滝沢
だから、ここは
北山
んでも秀明はこのとき
滝沢
もう1回、言ってみ
北山
はっ?
滝沢
名前
北山
…秀‥明?
滝沢
なんで語尾が上がるの?くくくっ


人目を気にせず、溺愛ぶりを発揮し。

二階堂
あぁ~あ見てらんない
千賀
ニカ
二階堂
分かるけどさ二度もぶっ倒れたり
したら、でも俺達が見守っている
必要ある?
千賀
まぁ~ね滝沢くんが傍にいる間は
大丈夫なんじゃないの


その滝沢くんが1番危険な存在かもしれないんだ「分かってないな」横尾がボソッと呟く。

(仕方がない彼奴らは何も知らないんだから、でも)

滝沢
もし、だったとしたら俺は真っ先に
あいつの項を噛み自分の番にするね


そう言っていた人の前で、北山が発情したら。

横尾
あぁ~歯痒い
玉森
ワッター?
宮田
どうしたんだよ急に


地団駄踏んで悔しがる横尾、なんだかんだ言って「上下関係の世界」先輩である滝沢くんに俺ら後輩は逆らうことなんて出来やしない。

けど、それでも俺は。

北山
藤ヶ谷、ちょっといいか?
藤ヶ谷
ドキッ、あっ、あぁ


満面の笑顔で俺を呼ぶ、その声を聞くだけで心が騒ぐ。そんな俺を横尾はジッと見つめていた気持ちを探るかのように、そうやって1日1日が過ぎて行き年が明け帝劇の舞台は幕を開けたんだ。

新春:滝沢革命の…


それは紀伊の国の、とある森の中から始まる。

その森には、巨大な力を恐れた時の権力者によって海を奪われた「海の一族」が存在していた。

ある日ヒデアキの大切な人ユキヒメが何者かに連れ去られ彼女を取り戻すべく森を抜け荒れ狂う黒潮の海へ漕ぎ出して行く。

大海に出たヒデアキたちは、命を狙われていた海の守り神を救い海底にある竜宮城へと招待され、そこで渡されたとある秘宝「決して開けてはならない」という忠告と共に。

光る竹林でユキヒメを救い出したヒデアキ、しかし隙をつかれ再び奪われてしまい。そして仲間の応援を受け最後の決戦に挑んで行く激しい戦闘の中、次々と倒れてく仲間たち。

「なぜユキヒメは狙われるのか敵の目的は?」奇妙な運命に翻弄されヒデアキは開けてはならない秘宝の蓋に手をかけるが…


滝沢革命は毎日、満員のお客様が来場し好評を受け舞台は続いていた。

うちの事務所ならではの世界観に魅了され。