第3話

#2
449
2018/02/25 12:34
目が覚めた時,目に入ってきたのは白い四角だった.

病室.

腕からは管が繋がっている.

呼吸も苦しかった.


隣で祖母が泣いているのが分かった.


そしてまた意識は途絶えた_




医師


余命はあと1年です.


夕立 茜羅
夕立 茜羅
は?

それは、あまりにも唐突だった.




まだ何があったのかもよく理解していないのに,ベッドの上でわたしの命の時間が言い渡されてしまった.


医者に向かって「は?」などと心の声を漏らしてしまうのは当然だ.


脳みそが追いついていかない.


わたしは,病気だったの...?
祖母
茜羅...ごめんね...
気づかなくて...ごめんね...
夕立 茜羅
夕立 茜羅
死ぬ...んだ...
そういって泣く祖母の隣で,感受性が無さそうな目の医者に告げられた病名は,わたしが知っているちいさく狭い世界では理解不能だった.
発見するのがとても難しく,発見した頃にはもう,死ぬ確率は   98%

残りの2%の希望など聞きたくもないし,98という数字に押し潰されるに決まっている.
わたしなんか...特にね.
でもさ,



神様は居るんだなぁ.

これでやっと死ねる...




何もしなくても死んでいけるなんて...

でも,実感湧かないかも.




縄を,買わないですんだ.



祖母が医者と別室で話している.


部屋を見渡す.



一人部屋で窓はひとつ.


小さな花瓶には綺麗とは言えない白い小さな花が何本か入っている.






なんだここ,最高かよ.

夕立 茜羅
夕立 茜羅
はぁ...
大きくため息をついて目を閉じる.


もうこのまま死んでもいいくらい心地いい.


神様が味方してくれたのね,1年,我慢すればいいんだ.


ここでゆっくり残りの命を使っていこう.



そうしてわたしはまた眠りについた.

__そう思ったのは,その1日だけだった.

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